繊維学部_研究紹介2020
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究極のナノ材料ともいえる酸化物ナノシートの原子間力顕微鏡像。一枚のナノシートの厚みは1ナノ㍍に満たない。このナノ材料を使って一瞬で電気を貯める「超」急速充電可能なスーパーキャパシタを開発しています。3秒で携帯電話が充電できるのも夢じゃない?上)実験室風景。下)毎朝8:30からの朝英語ゼミの様子教員紹介「小さなモノで大きなエネルギー~ナノ材料で環境・エネルギー問題に挑む~」を合言葉に、日々教育研究に励んでいます。例えば私たちがつくる燃料電池の心臓部ともいえるナノ触媒は、数ナノ㍍(1ナノ㍍は10億分の1㍍)しかありません。つくった電気は、瞬時にスーパーキャパシタに貯めます。スーパーキャパシタはナノ材料の表面を利用した新しい蓄電技術であり、秒単位での蓄電が可能になります。小さいからこそ良いことだってあるんです。3秒で充電でき,体内に埋め込みこともできる夢のような話を一緒に研究しませんか?資源に乏しい我が国の美しい自然環境を守りたい。環境負荷が少ない電気化学反応を利用することで、クリーンなエネルギーを生み出し、蓄積できます。私たちはこの反応を担う新しいナノ材料やその合成法、利用法を開拓しています。研究室では、基礎から応用まで深くかつ広く展開することで、学生は「生きる力」「グローバルマインド」を身に着け、+αの力をもった人財として社会に貢献しています。キーワードは、環境、エネルギー、水(水素)です。合成からデバイスまで、基礎化学から応用物理化学までカバーしているからこそ、卒業生は自動車、電機、材料、電子、化学系等幅広いフィールドで研究者、エンジニアとして活躍しています。杉本渉教授〔経歴〕1999年早稲田大学大学院理工学研究科博士課程修了後信州大学繊維学部助手、准教授を経て、2013年より現職。〔専門〕電気化学、材料化学、触媒化学。〔受賞〕電気化学会進歩賞,国際電気化学会デノラ賞他〔趣味〕かつては庭球。現在は暴飲暴食。燃料電池に使用される白金ナノ触媒。燃料電池はCO2を排出せず、水素エネルギー社会を可能にするキーテクノロジーの1つですサイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦2.5cm研究から広がる未来卒業後の未来像50 nmPtナノ触媒2 nm炭素微粒子50 nm毛髪の1/1000の炭素が電子を集めるカーボンナノチューブの直径程度しかない白金粒子の表面で電気化学反応が起こる化学・材料学科小は大を兼ねる!?燃料電池やスーパーキャパシタ用ナノ材料を研究教員紹介鈴木研究室では、油・有機溶媒・水溶液といった液体をゲル化するような低分子ゲル化剤の開発とその応用研究を行っています。低分子ゲル化剤は、油処理剤をはじめ化粧品、医療・医薬、食品、文房具、塗料・インキ、電子デバイス、液晶等多くの分野でニーズが高い材料です。L-アミノ酸を基盤としているため、生分解性・生体適合性などの特性を持ち環境にやさしい材料です。このような超分子化学をもとにした材料の設計・開発・応用研究は、非共有結合を利用した材料特性や物理化学的性質の制御という点で期待されている研究分野です。低分子ゲル化剤は、超分子ゲル中でナノファイバーを形成するため、多くの応用研究がなされています。例えば、色素増感太陽電池のゲル電解質としての利用、無機酸化物の鋳型重合による酸化チタンナノファイバーネットワークの創製あるいは細胞培養基材としての評価等の応用研究がなされています。今後、高分子と同じように我々の生活の中に低分子ゲル化剤が浸透していくことが期待されています。主に、化学メーカーなどへ就職します。鈴木研究室では有機合成のテクニックの習得や種々の測定機器の使用によって、化学研究者としてのスキルを身に着けられるので、幅広い分野で卒業生が活躍しています。鈴木正浩教授信州大学大学院総合工学系研究科助手、准教授を経て、2015年から現職。主な研究テーマは、低分子ゲル化剤の開発と応用研究、機能高分子材料の開発、人工光合成系の構築等。L-アミノ酸系低分子ゲル化剤によって形成された有機溶媒の超分子ゲル。逆さまにしても落ちてこないほどしっかりとゲル化している低分子ゲル化剤が超分子ゲル中で形成するナノ構造、色素増感太陽電池のゲル電解質、TiO2の鋳型作製、細胞培養基材への応用研究から広がる未来卒業後の未来像トルエンニトロベンゼンエタノールSiオイルアセトン有機溶媒の超分⼦ゲル超分⼦ゲルTiO2ナノファイバー⾊素増感太陽電池繊維芽細胞の培養ゲル化剤のナノ構造化学・材料学科世の中のあらゆる液体をゲル化!?超分子ゲルの幅広い応用を模索!33

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