繊維学部_研究紹介2020
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教員紹介研究から広がる未来卒業後の未来像機械・ロボット学科バイオエンジニアリングコース安全・安心な医療技術を実現する、整形外科疾患の手術シミュレーション私たちの身体を支える骨が折れてしまったり変形してしまったときには、その程度によっては手術をして正しいかたちに戻す必要があります。このとき、手術中や手術後に骨に加わる力を正しく見積もらなければ、手術が失敗してしまったり、再手術が必要になってしまうかもしれません。小関研究室では、病院で使われているX線CT装置を使って患者さんそれぞれの骨の「かたち」をモデル化し、体の中で骨にどのような力が加わっているのか、コンピュータを使って解析しています。そして、医師と共同で手術手法の妥当性の検証や、新しい手術手法の提案を行っています。小関研究室では、「生物」を対象に「機械工学」の考え方を「情報工学」を使って検討しています。このため卒業研究を通じて幅広い分野の知識と問題解決能力が身に付きます。卒業後の進路も多彩で、どんな分野でも活躍できるでしょう。小関道彦教授富士通株式会社、東京工業大学大学院理工学研究科機械制御システム専攻助手等を経て、2019年より現職。骨体の力学シミュレーションだけでなく、医用画像計測機器の性能を向上させる研究も行う。サイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦2.5cm写真説明サイズW3cm×H2.65cm配置位置横0.5cm、縦7.42cm病気や怪我の際、医師はコンピュータシミュレーション結果に基づいて診断や治療方法を決定し、患者さんは結果を見ながら説明を受けることにより自分の症状をよく理解できるようになります。また、私たちの骨の「かたち」と力の加わり方の関係がわかれば、成長を予測することが可能となり、骨に負担がかからないように予防することができます。目指しているのは、お医者さんにも患者さんにも優しい未来です。信州大学医学部整形外科の医師と共同で、脊柱側弯症と呼ばれる疾患の手術について、より安全な手法の検討を行っています。骨盤を引き締めるダイエット手法が様々提案されていますが、その効果について力学的な観点からコンピュータシミュレーションを行います。ある手法を続ければ、お腹が凹み、骨盤の横幅が広がってウエストが強調される体形になれるかも!?教員紹介生物にとって水や空気などの流体はとても大切であり、生物と流体は密接な関係にあります。その中で、小林研究室は「生物の遊泳」と「血流」について取り組んでいます。「生物の遊泳」では、生物の巧みな遊泳を詳細に調べてロボット化に有効なメカニズムは何かを発見し、新しいロボットを創成しています。また、「血流」では、心筋梗塞や脳梗塞の原因でもあるアテローム性動脈硬化症について、動脈硬化斑(プラーク)の破綻メカニズムを、模擬血管を使った実験とコンピュータを用いた数値計算によって検討しています。水棲生物は様々な環境で生息しています。その生物のメカニズムを応用することで、従来のロボットでは難しい、泥の中や、大震災後に問題となった海藻・ロープ・瓦礫が沢山ある海中など、厳しい環境で作業するロボットの実現に寄与するでしょう。また、血流の研究では、患者毎のMRIなどによる医用画像から、動脈硬化斑の脆弱度を即座に数値化する診断支援システムとして発展できるでしょう。研究の関係から、医療機器の企業に就職する学生もいますが、多くは精密機械・自動車・電機・情報通信など、多岐にわたる企業に就職しています。もちろん、公務員になったり教育研究機関の研究者への道を歩む学生もいます。小林俊一教授信州大学繊維学部講師、助教授、准教授を経て2009年から現職。1996-1997年、ジョージア工科大の研究員の時に血流の研究をスタート。現在も国際共同研究として取り組んでいる。研究から広がる未来卒業後の未来像ゴカイの泳ぎを調べて開発した全方向遊泳が可能なロボットアテローム性動脈硬化症のモデル実験と数値計算魚の尾びれのしなやかな動きに注目したフィン。フィンの剛性をリアルタイムで変化させ、推進性能の向上をはかる機械・ロボット学科バイオエンジニアリングコースバイオと流体で、ロボット開発と医療に取り組む24

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