繊維学部研究紹介_2018
51/66

環境指標生物として利用しているユスリカの幼虫教員紹介河川や湖沼などの淡水域における生物群集と環境との関わり合いについて研究をしています。水環境の変化を知る手段として、生息している生物の種類や生息密度、バイオマス、生態系の中での役割の変化などを利用します。こうした生物の出す信号をキャッチすることにより、現在の水環境の状態や今後の方向性などを予測することができます。「指標」にしている生物は、生態系の中では「分解者」としての役割を果たす「底生動物(湖や川の底にすんでいる生き物)」です。これらの生物についての研究は世界的にみても遅れており、皆さんの若い力が求められています。一緒に研究しませんか?このすばらしい日本の水環境を、私たちの次の世代の人たちにより良い形で残していくためには「どのようにしていったらよいのか」「そのためには今、何をしなければならないのか」を常に考えていかなくてはなりません。「自然との共存」は大変なことです。自然のこと、生物のことをよく知ることにより、その方策を見いだしていくことが大切ではないでしょうか?「生物のプロ」になりませんか?大学院修了者は、製薬会社研究所、地方公共団体研究所、害虫防除会社研究所、民間水質検査機関など、研究職に就く人が多いようです。高校、中学の教員になる人も多くいます。学部卒業では、食品系会社、繊維系会社、金融機関など様々です。平林公男教授山梨県立女子短期大学助教授、信州大学繊維学部助教授を経て2007年より現職。英国のLondon大学やオーストラリアのMelbourne大学に留学経験をもつ。研究分野は応用生態学、陸水生態学、衛生動物学、環境衛生学。特別保護区である上高地梓川での水生昆虫類の調査(焼岳をバックに)研究から広がる未来卒業後の未来像国土交通省土木研究所との共同研究で、千曲川の一部を堰き止め、水生生物などの総合調査を行う応用生物科学科ヒトの健康と水環境保全に関する研究ー生物指標を用いた水環境変動の解析直径100ミクロンの卵子も数ミクロンの精子も顕微鏡下で操作受精直後から精子中心体を基点にして微小管繊維網が発達教員紹介哺乳類における受精生理の解明と遺伝資源の保存・再生に取り組んでいる保地研究室。これまでにマウス、ラット、ウサギ、ネコ、ウマ、バッファロー、ウシ、クジラ、ヒトに至る動物種の配偶子(精子・卵子)を扱い、約100編の学術論文を公表しています。得意技は、未受精卵子や受精卵(胚)の新しい凍結保存法である「ガラス化技術」と高倍率の顕微鏡下で配偶子を操る「顕微操作」。マイクロマニピュレーターを駆使すれば受精シーンを再現した胚の作出だけでなく、クローン動物や遺伝子改変動物の創出も可能になるそうです。顕微授精技術や体細胞核移植技術の確立は、細胞の「生」の定義を「ゲノムDNAが保存されていること」だけに集約しました。永久凍土に凍結状態あるいはフリーズドライ状態で埋まっている絶滅種、マンモスの生殖細胞・体細胞もこの意味では「生きている」可能性があり、最先端の生殖工学技術の力を借りることで「マンモス復活」の狼煙が揚がるかもしれません。また、再生医療の切り札である多能性幹細胞(ES細胞・iPS細胞)をラットで樹立しました。これらを機能的な生殖細胞に分化させることができるならば、究極の不妊治療法となることでしょう。製薬・食品関係の企業、あるいは国・地方公共団体(公務員)といった就職先が一般的です。一方、8組に1組の夫婦が不妊に悩んでいると言われる昨今、高度な顕微操作技術を習得した学生は産婦人科関連クリニックに勤め、ヒト不妊治療に携わる技術者となった例も少なくありません。保地眞一教授雪印乳業(株)研究員、帯広畜産大学寄附講座教員、信州大学助教・准教授を経て2008年より現職。実験小動物から大型家畜、さらにはヒトに至る様々な哺乳動物の生殖細胞等を用い、生殖生理学、低温生物学、発生工学に関する研究を展開。研究から広がる未来卒業後の未来像ラット精子頭部は釣り針状の形をしているため注入操作は困難だったが、今ではフリーズドライ精子に適用できるまで改良された応用生物科学科顕微操作を駆使して受精の神秘に迫り、遺伝資源を保存・再生・活用する!50

元のページ  ../index.html#51

このブックを見る