繊維学部研究紹介_2018
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教員紹介研究から広がる未来卒業後の未来像化学・材料学科応用分子化学コースコロイド微粒子単結晶の回折光は目で直接見えます谷上研究室はものづくりの研究室です。サブミクロンの大きさを持つ粒径のそろった微粒子を合成して,電気泳動堆積法で粒子を規則正しく並べています(コロイド単結晶)。粒子は静電反発が強く,元来並んでくれないものです。そこをいろいろと工夫することが研究の醍醐味です。なぜそれをやるのか。それは,コロイド結晶があまりにも魅惑的な光を放つからでしょう。高分子,繊維に係わる化学メーカーに多く就職しています。長野県外が多いです。どういう分野の企業で活躍できるかを認識できるのは4年生になって研究室に配属されてからです。それまでは,あせらず地道に力を蓄えておくことが望まれます。谷上哲也准教授専門は高分子化学。古くはX線回折で繊維やフィルムの構造と物性解析をやっていたが、今はコロイド単結晶をつくる研究を行っている。コロイド単結晶片(ポリスチレン)の電子顕微鏡写真量子コンピュータというものが求められています。それを実現するためには,特定の波長の光だけを透過させたり,光を直角に曲げたり,閉じ込めたりする技術が必要です。それを可能にする光学素子をフォトニッククリスタルといいます。光の波長と同じような周期を持つ結晶です。谷上研のコロイド結晶もフォトニッククリスタルに近づける一つの手法です(ボトムアップ法)。2° 20° 2° 15° 30° 50° 2° 35° 50° θ θ 光 カメラ コロイド結晶 光を当てる角度,見る方向を変えると色が変わります.教員紹介西井研究室では、生命や生物現象に有機化学をメスとして切り込みます。例えば、抗ウィルス作用や血小板凝血抑制作用のある天然物(天然から単離された物質)を全合成しました。全合成とは、天然と全く同じものをフラスコの中で合成することです。また、新しい有機反応を開発することで、今までに合成困難とされていた物質の合成を可能にします。他に抗菌・殺菌剤やフェロモンなどの生理活性物質の合成を行っています。最近、魚類のフェロモンの分子構造と活性相関を解明する研究を開始しました。魚類の生物応答の謎の解明とともに、フェロモントラップによる特定外来種の駆除にも役立ちます。有機化学的手段を武器として自然に切り込んで、有機化合物に着目することは、分子レベルで現象を解明することにつながります。医薬の薬理活性、殺菌作用、フェロモンによる雌雄の応答、各種ホルモンによる生理現象などを分子レベルで解明すれば、その応用が未来を切り開きます。つまり、天然物にヒントを得た医薬の開発、不治の病の治療薬の開発、作物の病の治療、フェロモンを利用した有害生物の捕獲、フェロモンを利用する貴重な生物のコントロールなど夢が無限に広がることでしょう。主に製薬や化学メーカーへの就職が多い。有機化合物の単離手法や有機合成的手法は「ものをつくる」最強の力になります。これらを習得した卒業生は、社会の幅広い研究分野で活躍しています。西井良典准教授ピッツバーグ大学博士研究員、理化学研究所基礎科学特別研究員を経て、2007年より現職。主な研究分野は、天然物有機化学、有機合成化学、有機反応。抗ウィルス、抗HIV作用や血小板凝血抑制作用を有するいくつかの天然物の全合成を達成しました研究から広がる未来卒業後の未来像OOOMeOMeOOOOOMeOMeOOMeOリンゴ斑点病に対する農業用殺菌剤の開発研究を行った魚類フェロモンの探索、分子構造の解明、構造活性相関の研究化学・材料学科応用分子化学コース有機化学を駆使して謎を解く。生物活性物質の探索!新反応と新薬開発!43

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