繊維学部研究紹介_2018
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教員紹介研究から広がる未来卒業後の未来像化学・材料学科機能高分子学コース現代の錬金術!?分子設計でつくる新たな高分子材料繊維、プラスチック、ゴム…私たちの日常生活は,高分子材料なしには成立しません。一方で、廃棄されたプラスチックによる海洋汚染や、石油資源の将来的な枯渇など、現代の高分子化学が引き起こした社会問題も存在します。高坂研究室では、原料となる分子から高分子を設計し直し、これらの問題を解決する新しい高分子材料の開発しています。例えば、水中で環境負荷の小さな物質に分解する高分子や、原料を再生する循環型のプラスチックを開発しました。また、従来のポリエステルが高温・真空下で合成されるのに対し、低温・常圧での合成を実現する新しい合成法を発明しました。卒業生全員が大学院修士課程へ進学し、高分子化学・有機化学の研究者・技術者を目指しています。化学・材料関係の企業に就職する学生が大半ですが、さらに博士課程に進学して第一線の研究者を目指す学生もいます。髙坂泰弘助教1984年東京生まれ。2011年に東京工業大学で博士号を取得し、大阪大学助教を経て2015年から現職。PolymerChemistry誌が選出する世界30人の「新進気鋭の研究者」に名を連ねる、いま注目の若手科学者。稀少アミノ酸を原料にした高分子は,強酸条件・低温で水に溶けるが、ある温度を境に急激に不溶化する不思議な性質を示しました。化粧品や医薬品への応用を視野に研究を進めています。高分子化学は産業と密接に関わっているため、研究室で開発した新物質が、工業製品として実用化されることもあります。研究室では純粋な化学実験を学生とワクワクしながら進める毎日ですが、同時に研究成果をもとにした応用研究を国内外の企業・研究機関と進めています。省エネルギー、循環型のプラスチック生産技術や、pHや温度に応じて性質が変化するインテリジェント材料など、幅広い研究を展開中です。反応開始1時間後24時間後ポリエーテルフェノールフタレイン水中で分解する高分子.白色沈殿のプラスチックが分解すると、原料のフェノールフタレインが再生して赤く呈色する教員紹介研究から広がる未来卒業後の未来像化学・材料学科機能高分子学コース生体に倣う環境調和型プロセスによる機能性材料の創製と医療応用生物の有するバイオミネラル(歯や骨、貝殻などの天然の有機無機複合材料)は、常温常圧の穏やかな環境下で構築されるにも関わらず非常に優れた機能を有しています。そのため、バイオミネラルの構築プロセス(バイオミネラリゼーション)を学び、模倣することで環境負荷の小さなプロセスにより、バイオミネラルのような優れた機能を有する材料創製が可能になると期待されています。また、研究室ではバイオミネラリゼーション研究のみならず、生物から学び・倣う材料作りを目指し、ハイドロゲルやイオン液体などのソフトマテリアルの研究も行っています。研究活動を通して、科学に対する“理論的思考”に加え、考えを的確に人に伝える“プレゼンテーション能力”を有し、自身の哲学を理解し磨き続ける“人を育てる教育”を行なっている。卒業後は世界で活躍する技術者・研究者を目指してもらいたい。村井一喜助教2015年に名古屋工業大学大学院工学研究科物質工学専攻を修了し、博士(工学)を取得。日本学術振興会特別研究員DC2、東京理科大学基礎工学部材料工学科嘱託助教を経て、2018年より現職。質量の95%が水で構成されるソフトマテリアル(ハイドロゲル)サイズW3cm×H2.65cm配置位置横0.5cm、縦7.42cm生体機能に倣う材料の構造制御技術の理解に基づく科学技術の発展は、次世代の環境調和型製造プロセスにより生体系での優れた機能性材料であるバイオミネラルや生体組織をも超える“究極の機能性材料”として、次世代の安心・安全社会の形成に寄与すると考えられます。有機成分と無機成分が作り出すナノレベルのファイバー構造サイズW3.6cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦22.2cmタンパク質のモデル分子であるペプチドを合成しているところ40

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