繊維学部研究紹介_2018
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教員紹介小山研究室では、液体で供給したメタノールを気体として透過させる気化調整膜や、メタノールを透過させずに水素イオンを速やかに伝導する電解質膜などの機能性高分子膜の研究と、ナノファイバーの技術を応用したカーボンナノウェブ「CNW」の開発と応用に取り組んでいます。CNWは直径150nmという非常に細い炭素繊維の不織布で、物質拡散性を有するナノ集電層として大変有用な働きをします。これらを組み合わせることで、薄型・軽量でフレキシブルな小型燃料電池が実現可能です。ウェアラブル電源など様々な活用法が期待できます。小山研究室では、小型燃料電池の薄型・軽量化を可能にする材料の開発に取り組んでいます。燃料電池がウェアラブルになれば様々な利用形態が可能です。例えばロボットやパワースーツの電源です。曲面にフィットできるフレキシブル性を活かし、外装を兼ねた電源とすることも可能です。また、バッテリーのように充電のための時間を必要とせず、燃料を充填すればいつでもどこでも再起動できます。工事現場、山林での作業、介護用へと期待は広がります。卒業生の多くは大学院修士課程に進学しています。そして,主な就職先は、化学材料や有機電子材料、電子デバイス関連の企業です。真摯に研究に取り組む姿勢はきちんと評価され、そして将来の自分に力を与えてくれるでしょう。小山俊樹准教授信州大学繊維学部で助手・講師を務めた後、1998年より現職。生体での電子やイオンの働きをヒントに、機能高分子材料やデバイスの開発に係わる物理化学が研究分野。研究から広がる未来卒業後の未来像独自に開発した直径150nmの極細炭素繊維不織布「CNW」電極6セルを直列に一体成形した厚さ約4mmのフレキシブル燃料電池研究室で開発した材料を組み込んだ燃料電池は、その発電特性を評価装置でチェック。その結果を基に、さらなる改良を重ねます化学・材料学科機能高分子学コース薄くて軽いウェアラブルな燃料電池。ロボットやパワースーツの電源に!教員紹介疾病の時に処方される薬は肝臓で分解されます。その肝臓において中心的な役割を果たしているのが、CYPと呼ばれる酵素です。薬の効き方は、人によって様々であり、副作用の強く出る人もいます。我々の研究室では、このCYPを電極に固定し、適切な薬の投与量を簡便に見極めることを目指したバイオセンサーの開発を行っています。また、珪藻という植物プランクトンはシラフィンというタンパク質を使ってシリカの殻を形成しています。このシラフィンの構造を模倣した高分子を用いることで、新素材としての様々な形状のシリカの作成に成功しています。生体を構成しているタンパク質などの生体分子は多種多様であり、様々な生理機能を発現しています。また、タンパク質だけでも数万種類あり、未解明の機能もたくさんあります。従って、どの生体分子を選び、どのように活用するのかは、無数の組み合わせが考えられます。このように生体物質を工学に応用することで、新しい概念のもとで、新素材などの開発が可能になると確信しています。化学素材、医療機器メーカーなどが就職先として比較的多いですが、学生が興味を持ったどの分野の企業にも対応できるような教育を心がけています。小駒喜郎准教授信州大学大学院繊維学研究科修了後、東北大学にて博士(理学)の学位を取得。1999年から現職。この間、2001-2002年ドイツケルン大学に留学。専門は生体高分子工学。研究から広がる未来卒業後の未来像-1.00E-07-5.00E-080.00E+005.00E-081.00E-07-0.7-0.5-0.3-0.10.1Current(A)Potential(V)基質なしリドカインテストステロンニフェジピン薬物の種類によって異なる電流電圧応答を見せたCYP固定化電極(バイオセンサーへの活用例)ポリマーの添加による様々な形態のシリカの生成(新素材への活用例)基質なしリドカインテストステロンニフェジピン化学・材料学科機能高分子学コース生体物質を工学に応用するバイオセンサーや新素材を目指して38

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