繊維学部研究紹介_2018
35/66

教員紹介研究から広がる未来卒業後の未来像化学・材料学科マイクロ波を利用した化学マイクロ波を使った新規材料の創成と物性の解明を目指しています。「電波」と言えば地上波のラジオやテレビ、衛星放送、携帯電話、無線LANなど通信用途が主な用途として思い浮かぶと思います。しかし今や、どの家庭にも最低1台はある「電子レンジ」も同じような「電波」を使っていますが、こちらは通信用ではなくて「調理」のための道具です。調理は化学プロセスとしても位置付けることができますので、そこからさらに一歩進めて「化学および化学反応・化学プロセスのための利用法」を模索しています。どのような分野であっても解決すべき課題に向かってプロセス(ものごとの進め方)やシステム(課題の具体的解決法)を積極的に提案できる人になれるはずです。写真説明研究の発端は何でも構いません。何かやってみたいこと、疑問に思うことがあったらまず、その解決策を「自分で考える」ことが大切です。このことが研究を推進する力になります。学生さんには研究室をトレーニングの場としてとらえていただき、ここで考える力を養うことによって将来必要とされる世の中のどんな要求にも的確に応えられるようになるでしょう。ファイバー材料工学コース上の写真にある研究用マイクロ波発振器を使って無機物質(ここでは炭素を主体とする材料)にマイクロ波を照射すると800℃以上のコンパクトな高温雰囲気場を作り出すことができる。ここにメタンを接触させることで水素への効率的な転化をすることが可能になる。滝沢辰洋助教信州大学繊維学部機能高分子学科卒業。信州大学繊維学部教務員、助手を経て現職。興味のある分野は材料物性全般。教員紹介医療(や環境)に利用可能な材料には、まず安全・安心が求められます。しかしながら、現在医療現場で使われている材料の多くは石油由来化合物であり、天然由来・生体関連化合物を用いた真に安全・安心な材料の開発が求められています。当研究室では、安全性が高い天然由来化合物に、“化学的に”非常に単純な化学処理を施し、“工学的に”化合物を適切に加工することで、従来にない物性を示す材料を構築し、医療ならびに環境分野で利用可能な高機能材料を創製することに尽力しています。現在治療困難な疾患のための医療器具、現在対処法の無い環境問題への材料が開発できれば、現在人類が抱える問題の解決に貢献できると考えています。また一方で、従来にない材料の発見(開発)は、その先にある用途の発見(拡大)にも繋がることから、積極的に未知の材料を設計・開発していくことも人類社会の発展に欠かせないと考えています。当研究室では、幅広い知識と経験を身につけてもらうことを第一とし、化学と工学の両方の観点から、医療・環境分野で利用できる新規材料の設計・開発を学んでもらいたい。卒業後は、化学・材料系メーカーを中心に活躍してほしい。吉田裕安材助教H23.3に阪大院工・応用化学専攻を修了し、博士号(工学)を取得。その後、米国ジョージア工科大・博士研究員、阪大・博士研究員を経て、H26.9より現職。専門は、高分子材料・生体材料・再生医療研究から広がる未来卒業後の未来像100%アミノ酸から作られた超撥水性の不織布。ハスの葉の表面で水滴が丸くなるのは古くから知られている。これを人工的に再現すべく、フッ素化合物が多用されてきたが、実際に自然界はそのようなモノを用いない。冷やすと溶ける固体材料。一般的に物質は加熱するか溶媒を加えると溶ける。しかしながら、写真の固体は冷やすと溶ける。加工方法次第で、糸や粒子等も作製可能。細胞とタンパク質のみで作った細胞組織。直径が20-50ミクロンの細胞を適切に並べることで、ディスク状・布状・筒状の三次元組織を構築。再生医療に期待!化学・材料学科ファイバー材料工学コース天然由来化合物を最大限に活かした安全安心な材料開発と医療・環境応用34

元のページ  ../index.html#35

このブックを見る