繊維学部研究紹介_2018
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教員紹介研究から広がる未来卒業後の未来像化学・材料学科ファイバー材料工学コース『水』の能力を活かしてバイオマスから機能性材料を創る長田研究室では、『超臨界水(高温高圧水)』や『ウォータージェット(マッハ2以上に加速された水)』というちょっと変わった『水』を用いた化学の研究を行っています。自然界では『水』がもつ能力を活かして、日々いろいろな物質が作られています。自然から学ぶことで『水』の機能を最大限引き出し、環境に優しい化学が実現できると考えています。この『水』を使って、有効利用されずに捨てられている農林水産残渣などの地域資源バイオマスから付加価値の高い機能性材料(食品や医薬品)を創っています。例えば、イカ中骨に含まれるキチンからナノファイバーをウォータージェットで作っています。大学で学んだことを活かして、化学・食品・医薬品メーカーなどで、世界を舞台に技術者・研究者として活躍することを期待しています。技術的な視点だけではなく、社会的・文化的な背景も考えられる力をもつことも重要です。長田光正准教授東北大学で博士号を取得後産総研の研究員、ミシガン大学在外研究員、一関高専の准教授を経て、2014年から現職。専門は、化学工学、超臨界流体工学、バイオマス変換工学水の持つ機能を最大限発揮するために温度、圧力を操作した新たな化学反応場を探求しています未利用水産残渣のナノファイバー化農林水産残渣からの高付加価値材料づくり化学というと色々な薬品を使うイメージがあるかもしれませんが、それを環境に優しい“水”に置き換えることが私たちの目的です。水は、1気圧では、100℃で沸騰しますが、圧力をかけると100℃以上でも液体状態を保ちます。温度、圧力を操作することで水の物性(pHなど)もコントロールできます。つまり、酸・アルカリを使わなくてもpHが変えられます。この“水”を使って、薬品をできるだけ使わずに、様々な化学製品を作る方法を実現します。●超臨界流体固体液体気体圧力22.1 MPa温度374℃0.1MPa(大気圧)100℃0℃超臨界水臨界点超臨界水と高温高圧水とは2004006001197525圧力24MPapHpOH温度[oC]水の物性の温度依存性常温常圧では水の中性はpH=7ですが、温度とともに中性のpHは水だけでも変化します農林水産残渣・バイオマス高付加価値な機能性材料タンパク質(魚鱗)コラーゲンペプチドリグニン(木材)フェノール化合物高温高圧水処理βグルカン(キノコ)βグルカンオリゴ糖キチン(カニ、キノコ)キチンオリゴ糖個々の水分子は周囲の水分子が作る場からミクロな摩擦力を感じて運動する。この摩擦力の性質と水分子大集団の挙動との関連を探る教員紹介「水と生体分子」が私達のキーワードです。ほとんどの生命現象は水中で起こっているからです。生命を支えるミクロな世界の仕組みを「分光法」や「散乱法」と呼ばれる方法で探っています。特別な性質を持った光(電磁波)を様々な物質に当て、反射、透過、または散乱された光を上手に検出すると、ピコ秒(=百万分の1秒の更に百万分の1)で繰り広げられる非常に速い分子運動や、ナノメートル(=10億分の1メートル)の微小な世界で「蛋白質と呼ばれる分子機械」が働く様子を捉えることが出来ます。研究成果は、医薬品、化粧品や洗浄剤などの開発にも役立てられています。即座に社会還元が可能な実用研究が注目されがちですが、私達は基礎研究の深化を大切にしています。プロの研究グループとして、有数の学術誌に研究成果を発表し、世界に情報発信します。水・蛋白質・高分子・ゲル・界面活性剤などが関わる化学物理分野では、基礎研究と製品開発が密接に関連します。1つの分野に造詣が深くなければ、スペシャリストにもジェネラリストにもなれません。培った深い理解力が社会で強みになります。私達の研究成果や技術は、医薬品・化粧品・洗浄剤開発等の産業界へと繋がります。学術研究を通じ、学生の皆さんの問題解決能力・洞察力・国際スキルを高め、分野を問わず、国内外で活躍できる人材を輩出することを目標とします。佐藤高彰准教授早稲田大学出身。日本学術振興会特別研究員DC2、同PD、早稲田大学理工学術院講師、信州大学国際若手研究者育成拠点助教を経て2012年4月より現職。水と生体分子を含むソフトな系を学際的に研究する。人口酸素運搬体などの研究にも携わる。専門は化学物理。小角散乱法という手法で、微小な世界での蛋白質の集団的な振る舞いを調べる。筋肉繊維、細胞骨格、赤血球機能や代謝にも関連するサイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦2.5cm研究から広がる未来卒業後の未来像化学・材料学科ファイバー材料工学コース生命現象を支えるミクロな仕組みを物理と化学の力を使って探究!長田研究室研究から広がる未来卒業後の未来像化学・材料学科ファイバー材料工学コース『水』の能力を活かしてバイオマスから機能性材料を創る長田研究室では、『超臨界水(高温高圧水)』や『ウォータージェット(マッハ2以上に加速された水)』というちょっと変わった『水』を用いた化学の研究を行っています。自然界では『水』がもつ能力を活かして、日々いろいろな物質が作られています。自然から学ぶことで『水』の機能を最大限引き出し、環境に優しい化学が実現できると考えています。この『水』を使って、有効利用されずに捨てられている農林水産残渣などの地域資源バイオマスから付加価値の高い機能性材料(食品や医薬品)を創っています。例えば、イカ中骨に含まれるキチンからナノファイバーをウォータージェットで作っています。大学で学んだことを活かして、化学・食品・医薬品メーカーなどで、世界を舞台に技術者・研究者として活躍することを期待しています。技術的な視点だけではなく、社会的・文化的な背景も考えられる力をもつことも重要です。長田光正准教授東北大学で博士号を取得後産総研の研究員、ミシガン大学在外研究員、一関高専の准教授を経て、2014年から現職。専門は、化学工学、超臨界流体工学、バイオマス変換工学水の持つ機能を最大限発揮するために温度、圧力を操作した新たな化学反応場を探求しています未利用水産残渣のナノファイバー化農林水産残渣からの高付加価値材料づくり化学というと色々な薬品を使うイメージがあるかもしれませんが、それを環境に優しい“水”に置き換えることが私たちの目的です。水は、1気圧では、100℃で沸騰しますが、圧力をかけると100℃以上でも液体状態を保ちます。温度、圧力を操作することで水の物性(pHなど)もコントロールできます。つまり、酸・アルカリを使わなくてもpHが変えられます。この“水”を使って、薬品をできるだけ使わずに、様々な化学製品を作る方法を実現します。●超臨界流体固体液体気体圧力22.1 MPa温度374℃0.1MPa(大気圧)100℃0℃超臨界水臨界点超臨界水と高温高圧水とは2004006001197525圧力24MPapHpOH温度[oC]水の物性の温度依存性常温常圧では水の中性はpH=7ですが、温度とともに中性のpHは水だけでも変化します農林水産残渣・バイオマス高付加価値な機能性材料タンパク質(魚鱗)コラーゲンペプチドリグニン(木材)フェノール化合物高温高圧水処理βグルカン(キノコ)βグルカンオリゴ糖キチン(カニ、キノコ)キチンオリゴ糖32

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