繊維学部研究紹介_2018
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教員紹介村上研究室は、無機ナノファイバや化粧品用紫外線吸収剤や白金ナノワイヤ燃料電池触媒などの材料を開発し、世の中に提供してきました。多様な産学連携経験からのアイデアと、オリジナルな触媒技術に特徴があります。現在は、次のようなテーマに力をいれています。1.水の利用水を水蒸気に、水蒸気を水に、できるだけエネルギーを使わずに変換するシステムを開発しています。企業の望むことをすれば実用化するように思われていますが、実際にはうまくいきません。新しい市場が広がらないと、研究成果が世の中で使われません。誰も考えなかった新しいビジョンを提案することで、はじめて大きな研究に発展します。新しいビジョンを提案できる研究者に育ってもらいたいと思っています。研究室で鍛えられたことを活かして材料開発で活躍している先輩が多いです。大手化学メーカーに就職し、新しい材料を開発して、社長賞を受賞した人もいます。研究開発は予定通りにいかないことが多いので、シンプルな考え方とたくましさを身に着けることで、どこでも通用する研究者に育ちます。村上泰教授1993年に繊維学部に着任2007年から現職。2014年から、京都スーパークラスター長野サテライト研究統括を務めるなど、先進的な材料開発を行っている。研究分野は材料化学。研究から広がる未来卒業後の未来像光触媒などに用いられる酸化チタンナノファイバー写真サイズ高さ4.35cm×幅3.6cm配置位置横15.3cm、縦2.85cm高活性で寿命の長い白金/シリカ燃料電池触媒化学・材料学科ファイバー材料工学コース先進的利用を目指した材料の開発水の利用・熱の制御・人肌の触感2.熱の制御パワーエレクトロニクスの発展に欠かせない耐熱絶縁材料の開発に取り組んでいます。熱伝導性のよい柔軟な綿、耐熱性の高いゴム、塗布する形の難燃剤などを開発しました。また熱を電気に変えるシステムを日経BPのリアル開発会議の中で開発しています。3.人肌の触感人肌の触感のシリコーンゴムを合成しています。これからは癒しの触感が材料に求められると思います。教員紹介現在市販されている太陽電池はほとんどシリコンという材料から作られています。しかし高純度の結晶で複雑な構造をつくるためには大きなエネルギーが必要です。一方酸化チタン(日焼け止めクリームなど)、ヨウ素(消毒液など)、色素(ブルーベリーとか)を混ぜて塗るだけでも太陽電池がつくれます。そしてそんな材料で作った太陽電池のエネルギー変換効率は高く、さらなる効率向上を目指して世界中で多くの大学と企業が研究開発を行っています。森研究室でも高効率太陽電池の開発と、電子移動メカニズムの解明に取り組んでいます。自然エネルギーの代表である太陽光。太陽光から電気エネルギーに変換する太陽電池の普及には製造コストと材料コストを下げつつ、高い変換効率を達成しなければなりません。色素増感太陽電池や有機薄膜太陽電池はそんな低コスト高効率次世代太陽電池として期待されています。また電子移動メカニズムの解明を通して、安価な材料を用いた新しい高性能デバイスが設計できるようになると考えられます。材料メーカー、デバイスメーカー、電気メーカーなどに就職しています。太陽電池に限定されることなく、本質的な視点から材料やデバイスの設計と開発ができる人材となることを期待しています。森正悟教授ノキア・ジャパン株式会社や信州大学繊維学部助教を経て、2009年より現職。色素増感太陽電池や有機薄膜太陽電池、半導体や界面での電子移動が研究分野。さまざまな色素の溶液とその色素から作製した色素増感太陽電池。デザインの良い太陽電池の作製も可能大掛かりな装置が無くても太陽電池の作製が可能研究から広がる未来卒業後の未来像化学・材料学科ファイバー材料工学コース身近な材料を混ぜて塗ってみたら高効率太陽電池!31

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