繊維学部研究紹介_2018
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究極のナノ材料ともいえる酸化物ナノシートの原子間力顕微鏡像。一枚のナノシートの厚みは1ナノ㍍に満たない。このナノ材料を使って一瞬で電気を貯める「超」急速充電可能なスーパーキャパシタを開発しています。3秒で携帯電話が充電できるのも夢じゃない?上)実験室風景。下)毎朝8:30からの朝英語ゼミの様子教員紹介「小さなモノで大きなエネルギー~ナノ材料で環境・エネルギー問題に挑む~」を合言葉に、日々教育研究に励んでいます。例えば私たちがつくる燃料電池の心臓部ともいえるナノ触媒は、数ナノ㍍(1ナノ㍍は10億分の1㍍)しかありません。つくった電気は、瞬時にスーパーキャパシタに貯めます。スーパーキャパシタはナノ材料の表面を利用した新しい蓄電技術であり、秒単位での蓄電が可能になります。小さいからこそ良いことだってあるんです。3秒で充電でき,体内に埋め込みこともできる夢のような話を一緒に研究しませんか?資源に乏しい我が国の美しい自然環境を守りたい。環境負荷が少ない電気化学反応を利用することで、クリーンなエネルギーを生み出し、蓄積できます。私たちはこの反応を担う新しいナノ材料やその合成法、利用法を開拓しています。研究室では、基礎から応用まで深くかつ広く展開することで、学生は「生きる力」「グローバルマインド」を身に着け、+αの力をもった人財として社会に貢献しています。キーワードは、環境、エネルギー、水(水素)です。合成からデバイスまで、基礎化学から応用物理化学までカバーしているからこそ、卒業生は自動車、電機、材料、電子、化学系等幅広いフィールドで研究者、エンジニアとして活躍しています。杉本渉教授〔経歴〕1999年早稲田大学大学院理工学研究科博士課程修了後信州大学繊維学部助手、准教授を経て、2013年より現職。〔専門〕電気化学、材料化学、触媒化学。〔受賞〕電気化学会進歩賞,国際電気化学会デノラ賞他〔趣味〕かつては庭球。現在は暴飲暴食。燃料電池に使用される白金ナノ触媒。燃料電池はCO2を排出せず、水素エネルギー社会を可能にするキーテクノロジーの1つですサイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦2.5cm研究から広がる未来卒業後の未来像50 nmPtナノ触媒2 nm炭素微粒子50 nm毛髪の1/1000の炭素が電子を集めるカーボンナノチューブの直径程度しかない白金粒子の表面で電気化学反応が起こる化学・材料学科ファイバー材料工学コース小は大を兼ねる!?燃料電池やスーパーキャパシタ用ナノ材料を研究教員紹介地球温暖化の原因として悪者のような二酸化炭素(CO2)ですが、二酸化炭素がなければ地球の温度はもっと低く、生物が生きることがません。また、二酸化炭素は植物による光合成により有機物へと変換され、材料として、そして、エネルギー源として利用されます。そう考えると、二酸化炭素は全ての生物の源であると同時に、環境を調整する重要な役割を担っていると言えます。この二酸化炭素を物理・化学・生物の知識・技術を使って分離したり変換し、そして、工学の力を使ってうまく全体を設計することにより、炭素資源循環による持続的社会の構築を目指しています。火力発電所からのCO2の分離回収技術として、多孔質膜による分離プロセスを研究しています。また、植物工場や乾燥地緑化など、環境をうまく制御し、植物の炭素固定を促進する技術の開発にも取り組んでいます。逆に、その植物(バイオマス)を材料やエネルギーとして有効利用するための技術の開発も行っています。これら個別の課題に取り組みつつも全体を見渡せる、そんな人材を生み出したいと思っています。化学工学の知識と技術は、産業としてのものづくりの現場では必要不可欠であり、化学工学出身者はプラントエンジニアリングを始め、多種多様な製造メーカーなど、多くの会社で必要とされています。活躍の場はとても広いです。高橋伸英教授東京大学で博士号を取得後、信州大学繊維学部助教、准教授を経て、2014年より現職。専門は化学工学、環境工学。研究コンセプトは「CO₂+水+土+太陽+知恵+技術→持続的社会」。研究から広がる未来卒業後の未来像CO2を有効利用し、環境問題を解決するためには、各要素技術とともにそれらをどう上手く組み合わせるか全体システムの設計が重要。ナノサイズの孔を有する中空糸膜を用いたCO2分離プロセスを研究・開発しています。バイオマス由来の固形燃料(上)、新規吸着剤(下)の研究・開発も行っています。化学・材料学科ファイバー材料工学コースCO₂を上手く利用し、持続的な社会の構築を目指す石炭と同程度のエネルギーを有する固形燃料コーヒー滓由来の粘土複合炭化物30

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