繊維学部研究紹介_2018
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教員紹介研究から広がる未来卒業後の未来像化学・材料学科ファイバー材料工学コース光触媒反応システムの開発クリーンな有機反応から人工光合成へ光エネルギーを駆動力として、光化学合成や水質浄化のための光触媒と反応装置を研究しています。目的反応に適した光触媒/助触媒の探索のため、Langmuir-Blodgett膜(LB膜)製造装置を用いてナノ階層構造を制御し、分子間力顕微鏡や導波路分光装置などで評価します。開発した光触媒を大量合成反応に応用するため、光触媒への導光性と原料の輸送効率を高めた光化学反応器を開発しました。この光化学反応システムをベンゼン等の部分酸化反応、太陽光を利用する水質浄化、光触媒消臭ウエアに応用し、さらに、水とCO2から化学原料を合成する人工光合成システムへの展開を検討しています。研究を通して、化学の知識を問題解決に生かす力、必要に応じて新領域を学び続ける力を身に着けるので、卒業生は、化学、電子や機械など広い分野で活躍しています。宇佐美久尚教授1992年に信州大学助手着任、助教授、准教授を経て、2012年より現職。研究分野は光化学、光触媒光触媒反抗器。水の浄化システムは植物工場にも応用。LB膜の製造過程と導波路分光装置ナノ構造を制御した光触媒を試作し、分光装置で評価する。光化学の原理に基づいて、新しい反応の仕組みを設計し、実際に効果を実験で確かめることが研究の醍醐味です。光触媒のナノ構造を最適化して活性を高め、大量合成に適した反応器と組み合わせれば、水と二酸化炭素から化学原料や燃料を合成する未来技術にも貢献できると考えています。多孔質ガラスを導光路とする光触媒反応器。反応器内壁に担持した光触媒で有害物質を分解する。レタス栽培用の浄水システムへの応用を検討している光触媒反応器。処理液原液ガラス側壁光触媒層網目状の導光路とマイクロ流路励起光LED太陽光LB膜の製造過程導波路分光装置教員紹介生物は進化過程で優れた性能を持つ構造体を獲得しています。様々な反応を触媒する酵素や二酸化炭素を使った光合成などです。様々な機器の発達により、これらの生物構造体の詳細な構造が解明され、ナノメートルスケールで複雑な構造を持つことがわかっています。そこで、人工的にこれらの構造を模倣し、生体内での高効率なエネルギー変換および物質変換機能の構築について研究を行っています。具体的には、環境中で有害な物質の分解、微量な物質を検出できる化学センサ、シリコンを使わない太陽電池などの研究を行っています。化学を武器とし、電機や機械などの多分野との接点を持つ多面的な人材となることを期待しています。これまでに、化学・材料系メーカーを中心に、電機・機械メーカーにも卒業生を排出しています。木村睦教授平成2年筑波大学第二学群農林学類卒業、平成4年筑波大学大学院(環境科学専攻)修士課程卒業、平成7年信州大学大学院(工学系研究科)博士課程修了専門:機能材料化学ナノ構造材料を使うことにより、非常に低い濃度のガスを感知することができるようになります(人工嗅覚センサの開発)研究から広がる未来卒業後の未来像私たちの研究室では、生物構造を観察し、有機および無機化学的合成手法を使った新しい機能性材料の創成について挑戦しています。ナノスケールの大きさを持つ環境浄化触媒、微量な化学物質を感知することができる高感度センサ、カラフルな太陽電池を実現する機能性材料について研究を進めています。様々な元素を自由自在に操り、生物内に存在するナノ構造に近い構造を創り、さらに得られる材料の機能を詳細に解析しています。これらの材料は、これからの持続成長可能な社会構築のためのキー材料となります。化学・材料学科ファイバー材料工学コースナノテクで拓く機能性材料。生物構造の模倣による新しい機能発現29

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