繊維学部研究紹介_2018
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教員紹介研究から広がる未来卒業後の未来像機械・ロボット学科バイオエンジニアリングコース無限次元系を中心とした機構と動作制御からなる無限の可能性生物は身体の硬さの変化や振る舞いによって、外界に与える力や外界から受ける力を調整しています。動物の尻尾に着目してみると、線形状の部位が手の役割・体の支え・水中での移動・空中での体の姿勢の制御といった様々な用途として用いられており、用途によって尻尾の硬さの変化や動かし方を工夫しています。剛性を切り替え可能な線形状の機構は、尻尾と同様に様々な用途として利用できると考えられ、医療分野においては限られた領域内での複雑な姿勢、術者の操作性向上を実現する装置として注目されています。西川・岩本研究室では大変形柔軟梁に可変剛性機構を取り付けた線形状機構の開発を行い、その動作制御手法について研究を行っています。ロボティクス、メカトロニクスといった研究に必要な知識や技術はもちろんのこと、問題解決力、発表の仕方など卒業後優れた人材と認定される能力を獲得できるよう指導します。岩本憲泰助教九州大学大学院工学府を修了後、九州大学工学研究院学術研究員を経て、2017年より現職。ロボティクス、メカトロニクスを中心として柔軟体を含むシステムの機構と力学に取り組んでいます。車輪型ロボットに形状を瞬間的に保存可能な尻尾を搭載することで、発生する慣性力を利用した跳躍を行う動作制御手法移動ロボット本体に慣性力の伝達を目的とした柔軟尻尾大変形柔軟梁に形状を保存する可変剛性機構サイズW3cm×H2.65cm配置位置横0.5cm、縦7.42cm無限次元を有する柔軟体は組み合わせた機構とその動作制御によって大きく振る舞いを変えるため、柔軟体を中心としたロボットの可能性は未知数と言えます。私たちの身近に線形状が採用されている道具は非常に多く、もしそれらの線形状が自律動作可能になったら?と想像するだけで誰も考えもしなかった未来が見えてきます。柔軟体を中心としたロボットの可能性が新しい医療の世界を切り開きます。教員紹介「『生きもの』と『モノ』はどこが違うのか」とは超難問だが、直感的にはわかっている。それは本当だろうか?我々は路傍の石を無情に蹴り上げ、転んだ隣人に慈悲をもって手を差し伸べる。それは本当か?当研究室では、動物の本能行動を観察するとき、どうしても見えてしまう余計な行動がどのような意義をもつのかを、実験を通して探ることで、直感的といわれる「本能=適応的、余計=非適応的」という見取り図を書き換える努力をしています。その努力は、「バイオ(ロジー)=エンジニアリング」という見取り図を作り、バイオエンジニアリングを縁の下から支えます。10年前の研究対象はダンゴムシだけでしたが、今では深海数百メートルにすむオオグソクムシの心理学や、西表島にすむミナミコメツキガニとロボットの社会形成などに取り組んでいます。おかげで、学会活動も、動物行動学だけではなく、認知科学やロボット学へと広がっています。最近では、心理学の催しで話題提供を求められ緊張しましたが、ビジネス雑誌のインタビューを受けたときは、掲載して大丈夫?と思いました。研究室立上げ→地元家具店のKR、家督継承のKT、国際学術誌第1著者→俳優のMT、イベント会社→ママチャリ日本1周のMJ、卒研突撃アンケート→結婚企画のKM、実験室建設→国防?企業のI、台風の西表島単身上陸→一流教育会社内定のUN森山徹准教授キーワード:ダンゴムシ、オオグソクムシ、ミナミコメツキガニ、動物の心、モノの心、自律性、創発性、わたくし性、比較認知科学、動物心理学、動物行動学。研究室のホームページは「森山徹」で検索。オカダンゴムシの研究著書:森山徹,ダンゴムシに心はあるのか,PHP研究所,2011.オオグソクムシの研究論文:MatsuiT,MoriyamaT,KatoR,ZoologicalScience,受理.研究から広がる未来卒業後の未来像機械・ロボット学科バイオエンジニアリングコース動物の実験で「バイオ=エンジニアリング」を考える27

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