繊維学部研究紹介_2018
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教員紹介研究から広がる未来卒業後の未来像機械・ロボット学科バイオエンジニアリングコース安全・安心な医療技術を実現する、整形外科疾患の手術シミュレーション私たちの身体を支える骨が折れてしまったり変形してしまったときには、その程度によっては手術をして正しいかたちに戻す必要があります。このとき、手術中や手術後に骨に加わる力を正しく見積もらなければ、手術が失敗してしまったり、再手術が必要になってしまうかもしれません。小関研究室では、病院で使われているX線CT装置を使って患者さんそれぞれの骨の「かたち」をモデル化し、体の中で骨にどのような力が加わっているのか、コンピュータを使って解析しています。そして、医師と共同で手術手法の妥当性の検証や、新しい手術手法の提案を行っています。小関研究室では、「生物」を対象に「機械工学」の考え方を「情報工学」を使って検討しています。このため卒業研究を通じて幅広い分野の知識と問題解決能力が身に付きます。卒業後の進路も多彩で、どんな分野でも活躍できるでしょう。小関道彦准教授富士通株式会社、東京工業大学大学院理工学研究科機械制御システム専攻助手等を経て、2009年より現職。骨体の力学シミュレーションだけでなく、医用画像計測機器の性能を向上させる研究も行う。サイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦2.5cm写真説明サイズW3cm×H2.65cm配置位置横0.5cm、縦7.42cm病気や怪我の際、医師はコンピュータシミュレーション結果に基づいて診断や治療方法を決定し、患者さんは結果を見ながら説明を受けることにより自分の症状をよく理解できるようになります。また、私たちの骨の「かたち」と力の加わり方の関係がわかれば、成長を予測することが可能となり、骨に負担がかからないように予防することができます。目指しているのは、お医者さんにも患者さんにも優しい未来です。信州大学医学部整形外科の医師と共同で、脊柱側弯症と呼ばれる疾患の手術について、より安全な手法の検討を行っています。骨盤を引き締めるダイエット手法が様々提案されていますが、その効果について力学的な観点からコンピュータシミュレーションを行います。ある手法を続ければ、お腹が凹み、骨盤の横幅が広がってウエストが強調される体形になれるかも!?教員紹介研究から広がる未来卒業後の未来像機械・ロボット学科バイオエンジニアリングコース細胞の状態を“測り”生体に与える影響を“推し量る”柔道、サッカー、ラグビーなどのコンタクトスポーツにおいて脳震盪を繰り返すと記憶力や注意力の低下を引き起こします。頭を何度もぶつけることで、脳は刺激に対して脆弱、敏感になり、損傷閾値が低下します。一般的に頭部を強打すると、急激な加減速により脳組織に慣性力が働き変形します。脳組織の変形は神経細胞間の情報伝達を担う神経軸索に引張応力を与え、損傷や断裂を引き起こします。繰り返し脳震盪における軸索損傷の重症化メカニズムを明らかにするため、脳神経細胞の衝撃負荷実験を通して神経軸索の耐性値を開発しています。論理的思考力、課題解決力、コミュニケーション力などを自律的な研究を通じて養ってもらいたい。また、大学で培った人脈は卒業生にとっても在学生にとっても貴重です。研究生活の中で、同期との繋がり、先輩・後輩との繋がりを強めて欲しい。中楯浩康准教授慶應義塾大学大学院で博士(工学)を取得後、国立循環器病センター研究所生体工学部特任研究員、首都大学東京システムデザイン学部助教を経て、2018年より現職。頭部外傷研究、バイオメカニクス研究に従事。頭部衝突時の脳組織変形を実験的に再現するための細胞引張装置サイズW3cm×H2.65cm配置位置横0.5cm、縦7.42cm外傷を受けた脳神経細胞や脳毛細血管の状態がどのような挙動を示すかを正確に知る(測る)ことで、CTやMRIなどの画像診断では特定が難しい脳神経損傷をコンピュータシミュレーションで予測する(推し量る)ことが可能になり、新たな診断システムや自動車などの安全基準の確立に繋がります。また、細胞を損傷させるだけではなく、活性化させる刺激を見つけることで、再生医療への応用も期待できます。通常培養では無秩序な方向に伸長する神経軸索(左)培養面の接着性を制御し一方向に伸長させた神経軸索(右)26

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