繊維学部研究紹介_2018
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教員紹介自然界の生物は、誰に命令されることもなく自らの意思に基づいて行動することができます。そのように外部からの指示なしで行動できる様を「自律」といい、現在、そんな振る舞いをすることができる「自律ロボット」が世界中で注目を集めています。鈴木研究室では、制御工学・ロボティクスの観点から、自らの意思で動き、考え、そして作業をすることができる自律ロボットの実現を目指して研究を進めています。様々な小型空中ロボット、地上ロボットを開発し、運動制御システム、外部環境の認識システム、ロボット同士の協調行動制御システムの構築などを通して、ロボットが自律性を獲得するために重要な要素とは何かを追求しています。もし、自ら状況を判断し行動することができる自律ロボットが実現されれば、防災・レスキュー活動をはじめとして、危険地帯や極限環境下などでの作業を人間の代わりに行うことが可能となり、安全・安心社会を実現するための第1歩になると考えます。また、空中ロボットや地上ロボットといった複数種類のロボットがコラボレーションをすることによって、地球上に存在するどのような地形・環境下でも作業を行うことができる自律ロボットシステムも夢ではありません。ロボットを開発するためには、機械工学だけでなく、電気・電子回路、制御工学、プログラミングといった様々な知識が必要になります.自律ロボット開発を通してそれらの知識をまんべんなく学ぶことで、卒業後はどの分野でも即戦力となり得るエンジニアになることができると考えます。鈴木智准教授千葉大学博士後期課程修了後、同大学研究員、信州大学繊維学部テニュアトラック助教を経て、2014年より現職。自律無人ヘリコプタをはじめとした自律ロボットの研究に従事。主な研究分野は制御工学、ロボティクス、制御応用等。鈴木研究室で開発した空中ロボットの1つである自律小型無人ヘリコプタ。自律制御技術によって人の操縦なしで飛行可能研究から広がる未来卒業後の未来像第1目標は空中ロボットと地上ロボットのコラボレーションロボットの制御に用いるデバイスは全て独自に製作機械・ロボット学科機能機械学コース自らの意思で動き、考え、作業する。そんな『自律ロボット』を実現する!教員紹介研究から広がる未来卒業後の未来像機械・ロボット学科機能機械学コース驚異の新素材:カーボンナノチューブ!高機能性ナノ複合材料を作り、解析評価繊維は様々な分野で活用されています。繊維というとまず衣服が思い浮かぶでしょうが、繊維の役割は日常生活に止まりません。カーボンナノチューブ(CNT)の発見が世界的に知られ、その合成や評価・解析技術の開発に大きな関心が集まっています。夏木研究室では、CNTの機械力学特性(弾性率、振動、座屈など)を解明し、そのCNTを用いて高機能性複合材料の開発を行います。従来の材料では到達できない独特な性能を持つCNTを生かし、軽量で高機能なCNT強化複合材料を創成すること、またその様々な活用が期待されます。材料設計、評価・解析手法に取り組む研究室です。主に繊維メーカー、家電・電機、自動車関連メーカーに就職する卒業生が多いです。その他、ソフトウエア会社や官公庁へ進む等、卒業生は幅広い分野で活躍しています。飛行機の部材として使う場合に、より軽くより強くすることが求められます。複合材料の特徴の一つは軽くて強度と剛性が高いことです。炭素材料は、繊維状にすることにより欠陥寸法を小さくでき、また結晶の方向が一定なのでより高い強度を示します。特にCNTを用いたナノ複合材料の力学特性、減衰性と制振制の向上が出来、宇宙航行やスポーツ用品などに適します。研究開発が進めば、CNTの性質を利用して様々な用途への拡大が期待できます。夏木俊明准教授日立化成株式会社筑波開発研究所、独立行政法人産業技術総合研究所、NEDO研究員などを経て、2006年より現職。主な研究分野は複合材料の創成、物性の解析および評価に関する複合材料工学、計算科学。実験での測定が困難であるため、コンピューターでカーボンナノチューブの機械力学特性の理論解析と評価を行っているところカーボンナノチューブの力学特性解析に使う分子構造モデル有限要素法により、カーボンナノチューブの振動特性を解析22

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