繊維学部研究紹介_2018
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教員紹介毎日授業中に座る椅子、毎日履いているシューズ。普段何となく、この椅子は座りやすい、このシューズは履きやすい、など色々なことを感じていると思います。では、どの程度心地良いのでしょうか?私たちは目に見えない心地を可視化し、心地を科学しています。脳波・心電図・筋電図といった生理的活動の計測や、行動・気持ちの変化の測定だけでなく、さらにはコンピュータシミュレーションも取り入れながら心地や感性を理解することによって、人間が良いと感じるモノを創っていこうとしています。コンピュータシミュレーションは身体内部の状態を解析でき、人間の感覚を推定できる方法です。このシミュレーションの一番の利点は身体内部の状態を可視化できることです。例えば、身長や足長などの身体情報を入力すれば、座席シートやシューズがその人に合っているかどうか、その場で表示できます。将来的には、コンピュータ上で、座り心地・履き心地・寝心地・触り心地などを評価したいと思っています。感性工学コースの学生は、ものづくりに対する意欲が強いので、自動車や鉄道関連などの製造業に進む卒業生が多いです。さらに、「感性工学」という他にはない観点で、ものごとを見つめることができるのが大きな強みだと感じています。吉田宏昭准教授デジタルヒューマン研究センター研究員、信州大学繊維学部助教等を経て、2010年より現職。研究分野は、感性工学、バイオメカニクスなど。コンピュータシミュレーションを用いた心地評価などを行っている。座席に着座したときの気持ちの変化をアンケートを用いて調べ、その変化が身体内部でどのように現れているのか解析しています写真サイズ高さ4.35cm×幅7.5cm配置位置横11.4cm、縦2.85cm歩行動作をビデオなどで撮影し、その動きをコンピュータシミュレーションで再現して、身体内部の現象を解明しています研究から広がる未来卒業後の未来像先進繊維・感性工学科感性工学コース感性とシミュレーションの融合それは、新たなモノづくりの形消費者が望む機能やデザインを持ち、さらに実際の購入につながる衣服は着心地のよさ、美しさ、格好よさ、エレガントさ、高級感、かわいさなどの感性価値を持っています。また、それは美しくて、物性、機能に優れた衣服材料で作られています。研究室ではこのような美しくて快適な衣服を設計するための方法とは何か、また、そのような衣服のための衣服材料とは何かを繊維工学、衣服学、感性工学的観点から明らかにする研究を行っております。芯地を接着した布の物性を接着前の布と芯地の物性から予測する研究、ハイエンド衣服設計技術の分析、外観と着心地に影響する衣服材料・パターン要素とその条件、縫製・アイロン処理による衣服の立体化のメカニズムの研究など、経験に頼ってきた衣服製作方法の原理を明らかにし、工学的体系化を目指した研究を行っています。最終的には美しくて快適な衣服の効率的な設計方法を提案し、消費者が好み・購入する服の生産を目指す産業界の役に立ちたいと思います。衣服材料、衣服設計・デザインに関する専門知識だけではなく、俯瞰的な視野、コミュニケーション能力を持ち、グローバル社会にも対応できるような人材育成を目指しています。金炅屋助教日本学術振興会特別研究員(DC2・PD)を経て2014年より現職。専門分野は衣服工学・繊維工学・感性工学。主な研究分野は衣服材料・衣服設計・評価に関する研究。芯地の有無による外観の変化(左:無芯地、右:有芯地)縫製・アイロン処理による衣服の立体化のメカニズムに関する研究(同じ布・パターンで製作したジャケットの部位別処理による差、上:適切な処理有、下:適切な処理無)芯地の有無による着心地の変化(左:無芯地、右:有芯地)(a)衿(b)アームホール(c)肩衣服製作時に欠かせない芯地の効果に関する研究教員紹介研究から広がる未来卒業後の未来像先進繊維・感性工学科感性工学コース感性工学的観点から探る美しくて快適な衣服18

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