繊維学部研究紹介_2018
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教員紹介繊維工学とテキスタイルサイエンスの面から「せんい」に取り組んでいます。繊維工学の面からは、繊維機械やシステムについて検討しています。テキスタイルサイエンスとしては、せんいに潜んでいる法則を見つけていきたいと思っています。人類は古代は石器・土器を、やがて金属や合成樹脂、ついには原子力燃料を製造するところまで来ています。しかし、その間ずっと使われてきたものとして「せんい」があります。なぜ衣服は「せんい」でなければならないのか?これは、大変不思議で、面白く、また挑戦し甲斐がある謎であると思います。昔は大小さまざまな印刷屋さんがあって、それはなくてはならないものでしたが、パーソナルコンピュータとプリンタは印刷の世界を全く変えてしまいました。印刷業は大きく変わりましたが、誰もが自宅で様々な印刷物を作り出せるほど、印刷の文化は大きく発展しています。業界の成長と文化の向上は等しくないのです。このことは「せんい」の世界にも起こる、あるいは起きなければならないのかもしれません。同じ力のエンジンを積んでいてもレーシングカーとブルドーザーでは得意な仕事は全く違います。どちらが優れているかとか考えるのは無意味です。みんなが互いに得意なところで力を合わせるのが必要と考えます。坂口明男准教授長野県上田市生まれ。信州大学繊維学部卒。信州大学大学院繊維工学専攻中退。信州大学繊維学部教務員、同助手を経て現職。現在の専門は繊維工学。研究から広がる未来卒業後の未来像真綿から手作りされる紬糸にも法則があるウェブ中の繊維の形を測る先進繊維・感性工学科先進繊維工学コース「せんい」ー日本における、このキーワードの未来を考える教員紹介新しい繊維製品に対する計測分野への応用研究から広がる未来卒業後の未来像先進繊維・感性工学科先進繊維工学コース赤外分光やラマン分光に加えTHz分光分析という新たな分析装置を使用して、繊維製品を計測可能な技術開発に挑戦しています。この技術によりセルロース系繊維や獣毛繊維などこれまで困難であった繊維種同士の鑑別が期待されます。また、FBGセンサという高感度な光ファイバー型ひずみセンサを使用して、手首の脈拍のひずみ信号から脈拍数・呼吸数・血圧など複数の生体信号を同時に計測可能なシステム開発を行っています。将来、簡単に取り扱え長時間使用できるようにリストバンド型やシャツ型などでスマートテキスタイルセンサとしての製品開発を目指しています。21世紀は「光の時代」と呼ばれるように、身近には光センサや計測機器があふれています。これを繊維製品へ応用するというテーマで「新しいモノづくりへの取り組み方」を育み、社会で即戦力となる人材育成を目指しています。児山祥平助教信州大学繊維学部を卒業、同大学大学院を修了後、信州大学繊維学部技術部、信州大学国ファイバー工学研究所を経て、2017年より現職。専門分野は計測工学、繊維工学。サイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦2.5cm左: 試作したリストバンド型マルチバイタルサインセンサ、右: FBGセンサの繊維製品への導入(左図赤部の拡大図)「分光分析装置を使用した繊維製品の新しい鑑別方法を開発する研究」で使用するTHz分光分析装置サイズW3.6cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦22.2cmサイズW3.6cm×H4.35cm配置位置横14.9cm、縦22.2cmスマートテキスタイルの評価や開発に向けた新しい計測方法を提案することが研究の目標です。これまで計測できなかった繊維製品の情報を取得する、および新しいスマートテキスタイルを開発することで、より快適な生活を過ごすことができる繊維製品を社会に発信していくことを目指します。11

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