農学部研究紹介2018-2019
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田渕晃准教授米国ノースウェスタン大学医学部分子生物学科研究員、信州大学医学部助手を経て、平成7年より信州大学農学部。田渕研究室では、植物を材料として形質転換植物作出法についての研究、ストレス耐性やストレス応答性、さらには、植物と微生物の共生に関する研究を行っています。研究テーマは以下の通りです。(1)植物の形質転換系の確立と有用遺伝子の導入:主にミントを用いて、効率よい形質転換系の確立を目指しています。また、植物による環境浄化を目的として、金属結合性タンパク質遺伝子の導入を試み、得られた形質転換植物体を用いて、金属蓄積性・金属耐性などの解析を行っています。(2)共生系における根粒菌のシグナルレセプタータンパク質の機能解析: 根粒菌が植物と共生系を確立する過程では、植物との間で種々なシグナルの交換が行われます。研究室では,この過程で働く根粒菌のシグナルレセプターの機能解析を行っています。形成根粒の窒素固定能解析、シグナルレセプター遺伝子のクローニング、シグナルレセプターの発現解析などを進めています。微生物や植物の環境応答系に関してメタロチオネイン遺伝子導入ミントアルファルファ根粒植物による環境リフレッシュや窒素源・窒素循環系の効率よい利用法を確立する可能性を開くことが出来ます。研究活動を通して習得する問題発見解決力や実践力は社会の種々な局面で活かすことができます。卒業生は食品科学・化粧品産業分野また公務員として活躍しています。根粒中では根粒菌が大気のは素をアミノ酸に変え植物に供給しています。重金属汚染土壌や湖沼のファイトレメディエーションに利用できる可能性があります。細胞工学研究室研究から広がる未来卒業後の未来像生命機能科学コース保坂毅准教授独立行政法人食品総合研究所特別研究員を経て2007年11月より信州大学農学部。研究分野は応用微生物学。有用生理活性物質の生産に関わる微生物の潜在能力を引き出し、それを創薬研究に活かすことを目指しています。༅༂ȇ༆܅༂ആ̅有用二次代謝産物を発掘する多様な微生物の機能(ゲノム機能や化学機能等)への理解を深めながら、有用性の高い化合物を微生物の二次代謝産物から探索し、その構造的特徴や作用機構を解析することは、創薬研究の拡大と発展に大きく貢献すると考えられています。保坂研究室では、微生物由来の二次代謝産物から医薬品を開発するための画期的な技術革新を実現させ、限りある生物資源の高付加価値化と有効利用の促進を目指しています。微生物の二次代謝産物は、人智を越える多彩な化学構造と生理活性を有する化合物の宝庫であり、新薬開発の重要な鍵を握っています。実際に、ストレプトマイシン(抗結核薬)やFK-506(免疫抑制剤)、スタチン(コレステロール低下剤)などの世界を代表するような医薬品の骨格は、放線菌や糸状菌(カビ)といった微生物の二次代謝産物から発見されています。私たちの研究室では、放線菌や糸状菌(カビ)の潜在的な二次代謝能の重要性に着目し、その活性化と利用に向けた技術開発に取り組んでいます。放線菌や糸状菌は、抗生物質をはじめとする多種多様な生理活性物質を生産することで知られており、産業上極めて有用な微生物群である放線菌糸状菌(カビ)微生物実験や分子生物学実験、さらには生化学実験を通して、微生物の機能を細胞および分子レベルで理解できるようになり、食品・医薬品分野における微生物資源の利用促進に向けた最新の知見や技術が身につきます。卒業後に食品・製薬関連分野の企業等で活躍できる人材の育成を目指しています。放線菌や糸状菌の潜在的な二次代謝能を最大限に引き出し活用することは、創薬研究を発展させる上での重要な課題とされている野生型放線菌改造型放線菌青色抗生物質を生産する能力が眠ったままの状態潜在能力が目覚めて青色抗生物質を生産できるようになった状態応用分子微生物学研究室研究から広がる未来卒業後の未来像生命機能科学コース4

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