農学部研究紹介2018-2019
27/48

主にイネ,ダイズ,ソバについて,収量と品質の向上のための栽培技術の改良や開発を行っています。品種改良がAKB48の新メンバーとすれば,栽培技術の研究は秋元康,つまりプロデューサーに相当し,タレント(品種)がもつ魅力(能力)を理解し,引き出して人気(収量・品質)を高める,どんなキャラのタレントが売れるのか(どんな特性を持った品種が必要なのか)提案するといった役割を果たします。現在,倒れやすく栽培しにくい稲品種の栽培法改良,ダイズ栽培における有機肥料の合理的利用,過湿条件でも発芽良好なダイズ品種の選抜法開発,ソバ植物体温測定による土壌水分管理の最適化などのテーマで研究しています。世界の人口増加に見合う食料増産が必要ですが,持続的生産のためには石油やリン鉱石(リン酸肥料の原料)等の有限資源の使用削減が必須です。また,不良環境での生産向上も必須です。今の時代の人だけでなく,未来の人も食べていけるような農業への変革が求められています。未来のあるべき農業は生態系と生物機能をより巧みに利用した高度な資源循環システムでしょう。このようなシステムに一歩でも近づいていくため,有機肥料,土壌の乾燥や過湿といった栽培条件での土と作物との相互作用に注目して作物生産の向上・安定を目指しています。生産現場を支援する都道府県農業改良普及センター職員やJA職員として活躍できます。また,国家・地方公務員の行政職や技術職の立場で農産業の発展に貢献することもできます。種苗や農業関連資材・機材の生産販売を行う企業,食品メーカーでも卒業生が多く活躍しています。萩原素之教授石川県農業短期大学助手,信州大学農学部助手,同助教授を経て,2003年11月から現職。食料生産の向上・安定のため,低投入条件や不良環境下での作物の生育と収量の改善策を探る。品種(遺伝子)だけで勝負は決まらない作物の才能を発揮させるproducer:作物学実験風景:光合成速度・蒸散速度の測定,作物が吸収した窒素の定量,植物体温測定による水の過不足の評価,発芽時に種子から溶出する物質と発芽の良否の関係の調査,などを行う電子顕微鏡レベルから生産現場まで大学内での研究だけでなく,現場に出かけることも(農家水田でのイネの収量調査の合間に「農魂」にふれる)過湿条件でもよく発芽するダイズ品種を探す希少なモチ米品種「白毛もち」の栽培実験ダイズ種子の電子顕微鏡観察サーモカメラによるソバの水ストレス評価作物学研究室研究から広がる未来卒業後の未来像植物資源科学コース༂ą܅༂ȇ༂ԇଇЇଅਇଅ岡部繭子助教東京農業大学博士研究員、(独)農研機構食品総合研究所農研機構特別研究員を経て2009年6月より信州大学農学部。農家の生産圃場にある課題に目を向け、生産現場に近い研究に取り組んでいる。農家と同等規模の試験圃場で、緑肥栽培を組み込んだ作付体系による連作障害回避に関する研究を実施している長野県内外産のベニバナインゲン在来系統について栽培特性および子実品質の評価を行っている༂ą܅生産現場の問題にチャレンジする研究を!高冷地生物生産学研究室は、標高1351mにあるAFC野辺山ステーションのフィールドをメインの研究圃場として、構内ステーションの栽培学研究室と協力しながら「高冷地農業」に関する研究に取り組んでいます。現在は「緑肥を用いたキャベツ連作障害回避」と「ベニバナインゲンの栽培特性評価」という2つの課題を大きな研究テーマにしています。環境問題を念頭におきながら、「農家が使える栽培技術の開発」と「地域特産品の安定生産」を目指しています。私たちは農学部附属AFCの研究室ということを生かし、作物生産に関する作業を農家レベルの規模で体験しながら、研究を行っています。緑肥を用いたキャベツ連作障害回避に関する研究は、連作障害抑制効果の検討とともに、作業性等の面から農家経営の中に組み込めるかということも考慮しながら研究に取り組んでいます。栽培に関する研究事例の少ないベニバナインゲンについては、温暖化と安定生産をキーワードに地域の食文化を支える特産品生産に貢献することを目標にしています。この他、ソルガムおよび米の食用加工に関する研究もあわせて行っています。圃場作業を通して作物の栽培技術、圃場の生態系等についての理解が深まります。また、研究室員と協力して研究を進めることで、協調性を養うことが出来ます。卒業後は農業関連の会社、食品会社等で活躍できる人材になります。研究から広がる未来卒業後の未来像植物資源科学コース23

元のページ  ../index.html#27

このブックを見る