農学部研究紹介2018-2019
25/48

植物遺伝育種学研究室トウガラシやソバなどの新品種開発を目的として、それらの持つ有用形質の遺伝解析、優良系統選抜のための分子マーカーの開発、胚培養による種間雑種作出などを実施している。また、長野県内外はもとより、ネパール、ブータン、カンボジアなどにおいて、遺伝資源や有用植物資源の探索、収集を実施しており、収集系統の育種素材としての評価からDNAレベルの類縁関係の解明に向けた研究を実施する他、各地域において民族植物学的な現地調査も実施しています。高齢化、獣害の増加などの様々な問題を抱える中山間地域において,トウガラシやソバ在来品種の活用、新品種の導入などを進めることにより、同様地域におけるこれら問題を解決し、農業および食品産業の活性化を進めます。また、様々な有用植物資源の探索、収集、保全とその分類等をおこなうことは、地域資源の利活用につながり、これら植物資源の地域内での利用・保全を進めることができれば、生物多様性の保全に貢献できるとともに、これら植物に関する伝統的知識の伝承や保全が促進されます。当研究室では植物の遺伝学育種学分野の研究、学習が中心になりますが、それら研究を実施するためには、作物の栽培、病害虫防除、分子生物学的実験手法さらには加工流通から文化的背景に至るまでの様々な分野の知識と技術が必要となります。さらに、国内外の農村地域での現地調査に参加する機会も多いため、幅広い視野を持った人材として成長することが期待できます。このような経験を積むことにより、卒業後は、公務員(研究職を含む)や、種苗会社、食品会社、農業関連企業などで活躍できる人材になります。松島憲一准教授信州大学大学院農学研究科修了後、農林水産省国際部係長、同省九州農試研究員、同省農村振興局専門官等を経て、2002年より信州大学農学部。博士(農学)。信州伝統野菜認定委員(長野県農政部)など学外の委員にも就任している。トウガラシ等の新品種開発および在来品種の༅ആଇ܅܅༈आ༂Ѕԇआആ̅左;有用形質を持ったソバ新品種の開発右;海外でのトウガラシ等の遺伝資源探索収集(カンボジア)左;様々な形質を持つ日本のトウガラシ在来品種右;胚培養技術等を用いたトウガラシ種間雑種の作出研究から広がる未来卒業後の未来像植物資源科学コース植物遺伝育種学研究室根本和洋助教1998年より信州大学農学部勤務。2002年から10ヶ月、オランダ・ワーゲニンゲン大学客員研究員。植物遺伝資源の保全・評価・開発研究や民族植物学的調査研究に関心がある。海外での調査研究も数多く行っている。(写真一枚or複数枚組み合わせ)現在、研究しているアマランサスの花序(左)と種子(右)。種子中には多くの栄養成分を含み、高い環境適応性をもつ。(写真一枚or複数枚組み合わせ)ブルキナファソでの現地調査(左上)、ネパールでの試験圃場の様子(左下)、長野県下伊那郡に伝わる清内路あかね(右)༄܆ȅ༂ఈฆ༄ȇ༄؇ԆȈ在来作物資源を未来に向けて保全する私たちは、植物遺伝学、植物育種学、分子生物学といった学問分野をベースにして、育種学の理論と技術を応用して、作物の遺伝的改良に関する調査研究を進めています。社会のニーズに見合った育種目標を掲げ、世界の農業・食糧問題に貢献することを目指しています。また、国内はもとより海外での現地調査も積極的に実施しており、将来、海外の農業研究の現場で活躍できる人材の育成にも努めています。途上国における食糧・栄養問題を解決する、また、有用な機能性成分を多く含み私たちの食生活をさらに豊かにする、そのような可能性を秘めつつもあまり知られていない作物が世界にはまだたくさんあります。当研究室では、これらの低・未利用資源作物に光を当て、育種学的観点から遺伝的改良に取り組んでいます。同時に、急速に失われつつある在来作物資源を次世代に残すべく、保全遺伝学的アプローチによる研究を進めています。私たちは研究対象となる作物について、フィールドでの調査とラボでの分子生物学的手法による幅広い研究を展開しています。フィールドでの対象作物の栽培試験から、ラボでの遺伝解析や成分分析等、植物育種に関する幅広い調査研究を通じて、基礎的技術と応用の両方を習得します。卒業後は、種苗会社、食品関連企業、公務員研究職等で活躍できる人材になります。研究から広がる未来卒業後の未来像植物資源科学コース21

元のページ  ../index.html#25

このブックを見る