農学部研究紹介2018-2019
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神研究室では、農産および食品バイオマスを飼料原料として再利用するための技術開発を目指しています。現在は、長野県の特産物であるリンゴ、キノコおよび牛乳を一括りにした生産体系を作るために、リンゴジュース粕からキノコ培地を作り、キノコ廃培地から牛用飼料を作るための分野横断的研究を行っています。また、養鶏場からの窒素排出量を減少させ得る給餌プログラムおよび排泄物処理方法の開発を、海外の大学と共同で研究しています。私たちは、環境になるべく負荷をかけないように飼料を生産するために、農産業や食品工業から排出される廃棄物から飼料原料を作りだそうとしています。また飼料の最終形である畜糞を環境負荷の少ない方法で土壌に返すための方法を考えています。全ての研究テーマは実用化を念頭に置いていますので、企業との共同研究を積極的に展開しています。また環境低負荷は世界的な課題でもありますので、畜産由来の環境負荷物質の排出を減少させる目的で、海外の大学とも共同研究を行っています。未利用資源の飼料化や食資源循環に関する研究を通じて、飼料加工、家畜飼育、栄養素分析等に関する実践的な技術が身につき、また環境に対する意識も向上します。卒業後は牧場、食品・飼料会社等で活躍できる人材になります。神勝紀教授香川大学農学部助手を経て1992年2月より信州大学農学部。環境低負荷畜産を達成するために、未利用資源の飼料化や食資源循環に関する研究を分野横断的に行っている。ఈฆ܆ȅȅ༂༂Ԇ༂ԇЇ༄ఈ̈達成するリンゴジュース粕を培地原料として育ったキノコ(特許取得)とその廃培地から作成した牛用発酵飼料インドネシア・ジャンビ大学との共同研究(養鶏場からの窒素排出低減に関する研究)ȅȇउԆଅ研究室研究から広がる未来卒業後の未来像動物資源生命科学コース米倉真一准教授米国国立衛生研究所、東京都神経科学総合研究所を経て2016年より現職。研究分野は動物生理学。特に乳腺、筋肉組織発達の分子機構や健康長寿を支える食資源に関心がある。骨格筋、脂肪、乳腺の培養細胞で得られる形質は、生体内で起きる現象を反映している。図右は骨格筋分化過程にある細胞。(写真一枚or複数枚組み合わせ)マウス、キイロショウジョウバエなどの生体モデルが、乳腺発達機構や神経変性のメカニズムを探索するために役立てられている。分子・細胞の世界から༂ฅขଅ܆܆ȅȆ活性あり分化0日目分化4日目培養動物細胞を用いた研究乳腺神経動物生理学研究室では、普段私たちが口にしている「食」の付加価値を高める研究を行っています。アルツハイマー病など難病疾患に対しては、医学的治療だけでなく予防的アプローチも重要であると考えられます。神経変性疾患モデルを使った研究では、食資源の持つ疾患予防機能を見出すことが期待されます。また、乳や食肉の安定的供給には、生体内現象やストレスの解明が新たな飼料技術・飼養方法の提案に不可欠です。このように産業の入り口に立ち、今まで不可能だったことを解決する糸口が探索されています。動物の体をつくる様々な組織は、独自の発達機構や恒常性維持システムを持っています。神経はどのようにして情報を伝達するのか?筋繊維はどのように発達するのか?生命現象に対する多数の問いが、今日まで生体内に対する理解を深めてきました。そして、多数の生理学的知見が再生医療や疾患治療、畜産業の応用に役立てられています。動物生理学研究室では生命現象の分子機構に着目し、組織構成単位の細胞から実験動物まで幅広い観点から研究を行っています。機能性食資源の探索や、乳腺・筋肉などの分子基盤解明が未来の食を創造します。日々の実験を通して、データの見方や考え方、考察力などの論理的思考力が養われます。また、プレゼンテーションの習得にも重点を置き、説明能力に優れた人材が輩出されています。卒業生は主に、食品会社などで活躍しています。ȅȇ༂Їଅ研究室研究から広がる未来卒業後の未来像動物資源生命科学コース16

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