農学部研究紹介2018-2019
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一ノ瀬仁美助教農研機構特別研究員を経て2014年から現職。天然に存在する多糖類の糖鎖構造と酵素の基質認識に興味があり,糖質関連酵素の研究に取り組んでいる。糖質は,生体を構成する重要な分子の一つです。天然に存在する糖質は,結合様式が様々で,多くは複数の種類の糖で構成されていることから,私たちは十分に活用できていません。特異性の明らかな酵素を利用すれば,高分子の糖質を分解し特定の低分子を調製したり,新たに糖を付加したり,目的に応じて糖鎖の構造を変えることが可能です。どの酵素がどの糖をどのように認識し,どのような反応を触媒しているのか。酵素も多様性に富んでいます。研究室では,天然に存在する糖質の用途拡大を目指し,主に微生物由来の糖質関連酵素の探索と酵素の特性解明に取り組んでいます。研究室では,生体分子であるタンパク質(酵素),糖質,核酸(遺伝子)を扱っています。研究を通して,こんなにも多くの糖類に囲まれて暮らしていたのかと改めて気付くことでしょう。性質が明らかな酵素を利用することで,天然の糖類の構造を変えることができ,新規な素材を作ることができます。酵素を使って未利用資源を活用し,糖類の新規分野への展開を目指したいと考えています。新しい酵素を発見する。新しい糖を作り出す。ある製品に,あなたが名付けた酵素や糖の名前を目にする日もそう遠くないかもしれません。近年,タンパク質を取り扱える人は減少傾向にあります。確かな技術を身につけることで,食品,医薬,化学工業等様々な分野の企業人,教員や公務員等としても活躍することができます。甘くない糖と酵素の世界ABCDABC先生のお写真微生物(バクテリア)の力を利用して,酵素の生産を行う精製酵素と基質(糖質)を反応させて反応産物の分析を行い,酵素の性質や糖鎖構造を調べる糖質化学研究室研究から広がる未来卒業後の未来像生命機能科学コース10大神田淳子教授埼玉県川越市出身。京都大学准教授を経て2016年10月より現職。日米の大学と企業を経験して現在に至る。専門は生物有機化学、医薬品化学、ケミカルバイオロジー。夢は自分たちの研究成果が新薬の開発に役立つこと。人工合成分子の創造による生命反応の制御ȅ༂ਈଈഈ̅ԈB生命機能科学コースたんぱく質間相互作用はポストゲノム時代の新しい創薬標的として注目されています。たんぱく質の外側の平坦な構造を認ଈЅȆȅ༂؇ค༄用を制御する研究に挑戦しています。細胞には2万種以上のたんぱく質が働いている༂అЅഇ༂たんぱく質を鋳型とする阻害剤合成たんぱく質間相互作用を調節する合成分子のデザインと創薬への応用先人は「医食同源」と表すことで生命を養い健康を保つこと、食の大ȅ܇༂ค༂इちはケミカルバイオロジーのコンセプトと技術を生かし、より合目的؇ȅԈਇఈ̇ą༂̆ਇ展開します。サイエンスからの学びの活かし場所には、国境や性差による職業適正はćਈ܅༄അ༂ଅଅఇฅईĉ̆༂܆इ༄༂༂༂ଅ؉ଅई野に入れることも選択肢の一つとなります。ケミカルバイオロジー(化学生物学)とは、化学の力を使って生物の仕組みを解く学問です。私たちの体は生体分子で構成されていますので、生命の仕組みに関与する反応は分子間の相互作用から始まり、化学の言葉で理解できると考えられます。当研究室では生体反応のキープレーヤーであるたんぱく質に着目し、その相互作用を調節する人工合成分子を見出す研究に取り組んでいます。たんぱく質の立体構造に基づいた分子設計を行い、有機合成から細胞生物学までの技術を駆使して新しい生理活性分子を創出します。その成果は細胞機能の解明に役立つだけでなく、医薬品開発の新しい方法を世界に示すことに通じます。錨型の抗がん剤2017年度に1期生を迎える新しいグループです。信州大学から世界に向けて研究成果を発信することを通じ、地域を牽引し世界に通用する人材育成を行います。疾病の分子機構が加速度的に明らかにされつつあるポストゲノム時代において、分子情報に基づく薬剤設計は益々重要になるでしょう。私たちは新しい切り口による分子デザインを通じて、難治性疾患や感染症に対する創薬の方法論や考え方を提案してゆきたいと考えています。大学で学ぶことで、今まで以上に、課題設定と解決に向けた自由闊達な考えを述べ合うことを楽しめるようになるでしょう。知恵を絞ってアイデアを出し合い、自らが実験し次なる一手を考えていきます。ケミカルバイオロジー研究室での一連の活動を通じ互いに切磋琢磨することで、専門分野を深耕するだけでなく応用力あふれる専門家となり活躍の場を広げることが出来るでしょう。ケミカルバイオロジー研究室研究から広がる未来卒業後の未来像

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