農学部研究紹介2018-2019
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藤田智之教授日本テルペン化学株式会社研究員、大阪府立大学農学部助手、大阪府立大学大学院生命環境科学研究科助教授を経て、2006年より現職。研究分野は食品化学、天然物有機化学。加工した素材中の有用成分の組成や成分量の変化を解析します食品素材(穀類や果実)に水深1万メートルの水圧に相当する圧力をかけて加工すると新たな機能が賦与されます植物やキノコなど天然素材の中には各種疾病の発症予防や軽減化に寄与する未知の成分が含まれています。それらの素材の中から、酵素の働きを制御することのできる新しい有用成分を探し出し、人の健康維持に役立つ新食品素材の開発を目指して研究を行っています。また、100メガパスカル(水深1万メートルの水圧に相当)程度の加圧が可能な高圧処理装置を用いて、食品素材の新しい加工方法を探究しています。これまでに玄米や玄麦に加圧処理すると、糠(ヌカ)や麸(フスマ)の抗酸化性成分などの機能性成分が精白米や小麦粉に移行することを見出しています。天然素材に含まれる有用成分を純粋に取り出して、その化学構造を明らかにする技術は、食品分野だけでなく、生薬の分析や生物間で作用する生理活性物質の探索研究にも活かすことができます。そのため他分野の研究者と共同で研究を進めることが少なくありません。研究室で発見した成分や新たに開発した技術などをシーズ(種子)として、有効性の高いテーマは企業と共同で商品化に向けての検討を進めています。藤田研究室では、食品中の有用成分に焦点を当てて研究を行っています。卒業生は食品企業だけでなく、香料や化成品などファインケミカルズと呼ばれる製品群を扱う業種の開発職として就職されています。༂༄ȈԆ༂Ѕഇ܆の探究ー天然素材は可能性を秘めた宝物ー機能性分子解析学研究室研究から広がる未来卒業後の未来像生命機能科学コース【糠の成分を含む白米】【玄米】精米真壁秀文教授日本学術振興会海外特別研究員(米国Purdue大学)を経て1999年6月より信州大学農学部。顕著な生物活性を持つ天然有機化合物の合成と活性、生命現象の解明を目的とした研究に関心がある。プロシアニジンB3とプロデルフィニジンB3の前立腺癌細胞を用いた抗腫瘍活性試験B環にある1つの水酸基の存在が活性に重要である(写真一枚or複数枚組み合わせ)有機化合物の構造決定には核磁気共鳴スペクトル(NMR)が不可欠真壁研究室では、抗腫瘍、動脈硬化抑制活性など生活習慣病の予防や治療に関係する「顕著な生物活性を持つ生理活性物質」の合成や創製に取り組んでいます。有機化合物は人間が加工できる最も小さい精密な構造体です。有機合成化学の手法を用いて標的化合物を自在に合成する究極の物づくりを行っています。生理活性物質はごく微量で生物の行動や機能を制御しており、生命現象の鍵を握る存在です。私たちは生理活性物質の活性発現の仕組みや構造活性相関の解明、高度に機能化した分子プローブを創製することで生命現象を解明し、農薬・医薬への応用を目指しています。私たちは有機合成化学の立場から、生命現象をたどり、優れた医薬品や機能性物質を作り出すための基礎研究を行い、人類の健康に寄与することを目指しています。研究の過程では新規反応の開発も行っており、有機化学の発展にも貢献することを心がけています。生命現象には様々な有機化合物が関わっています。本研究室では顕著な抗腫瘍活性を持つ天然有機化合物の合成を行ってきました。その化合物を用いて学内、学外の研究者と活性発現のメカニズムの研究を展開しており、癌を克服すべく研究に励んでいます。有機合成化学実験を通して有機化合物の取り扱い、性質、精製方法が身につきます。また、自ら立案し試行錯誤を重ねながら研究を進める力を養うことが出来ます。卒業後は化学会社、製薬会社、食品会社等で活躍出来る人材になります。活性無し活性ありNMNによる構造解析܆ਆЅȆ̅ଅ༂で生命現象を探る機能分子化学研究室研究から広がる未来卒業後の未来像生命機能科学コース9

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