H29_繊維学部_研究紹介
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教員紹介カイコやその他の昆虫の持つセンサーやホルモンについて研究している塩見研究室。実は、昆虫は温度や日長をセンサータンパク質が受け取り、訪れる季節を予知しています。この高性能なセンサーの中には、天然成分の化学物質に反応するものがありました。この新発見を応用すれば、害虫や駆除すべき外来種に対し、自然にやさしい薬剤を散布することで、卵を冬に孵化させたり翅のない成虫を羽化させたりすることが可能です。自然や人に無害な害虫駆除として、注目を集めています。カイコの休眠時期のコントロールは、「昆虫工場」として、利用が進む遺伝子組み換えカイコの効率的な作出に貢献しています。このことを応用すれば、害虫駆除だけでなく生態系の保護にも役立ちます。ここ数年、ミツバチの個体数が全世界で減少し続けていますが、このような希少昆虫を卵の段階で保存し、将来の安定供給につなげることも可能なのです。また、昆虫の生態には未だに謎の部分も多く、それらを解明することで地球規模の環境問題や食糧問題、医療問題などに役立つ結果が得られると考えられています。食品会社や製薬会社、自然を相手にするような環境系企業等に就職する学生もいます。また研究室での経験を生かして、遺伝子解析などを行う企業にも卒業生を輩出。他にも、貿易関連の検査に携わるといった将来も考えられます。塩見邦博准教授信州大学繊維学部助手を経て、2007年より現職。研究分野はカイコや昆虫の休眠や変態、季節的多型といった蚕糸昆虫学、環境分子昆虫学、応用昆虫学。研究から広がる未来卒業後の未来像アカボシゴマダラの幼虫。こんな昆虫が塩見研究室には沢山いる。学生も昆虫の神秘に魅了された「虫好き」が集まってくるのだとかサイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦7.8cmカイコのセンサー遺伝子を導入した培養細胞を観察するカイコのもつ有用な遺伝子のクローニング応用生物科学科高性能なセンサーを逆手にとる!カイコ・昆虫の生態解明と害虫駆除?教員紹介新井亮一研究室では、タンパク質の構造や機能を深く理解し、有用な改変・人工タンパク質を設計・開発・応用する研究を行っています。タンパク質を見る:主にⅩ線結晶構造解析法を用いてナノサイズのタンパク質の立体構造を解明しています。タンパク質を調べる:様々な生化学的・分子生物学的手法を駆使して機能解析を行っています。タンパク質を創る:改変・融合・人工タンパク質をデザイン・創製する研究を行っています。タンパク質を応用:有用なタンパク質を開発し、生物工学や環境問題に役立つような応用を目指して研究を行っています。新井研究室では、X線結晶構造解析法、様々な生化学・分子生物学・遺伝子工学的手法等を駆使して、天然タンパク質の構造や機能の理解を深め、さらに、有用な改変・融合・人工タンパク質を設計・開発する研究を行っています。持続可能な未来社会へ向けて、医薬品開発やバイオテクノロジーへの応用をはじめ、タンパク質をエコフレンドリーな高機能ナノ材料やグリーンケミストリー触媒、高感度バイオセンサーなどの新分野へ応用展開することを目指して、学生自らが主体的に日々研究に取り組んでいます。タンパク質科学は、生物学、化学、工学、医学、薬学、農学、物理学、情報科学と多様な分野にまたがる複合研究領域であるため、卒業後様々な分野での活躍が期待できます。例えば、食品会社や製薬会社、化学会社をはじめ様々な業種への就職が考えられます。実際に、これまでの卒業生は化学、製薬、生物系会社等に就職し多様に活躍しています。新井亮一准教授理化学研究所や米国プリンストン大学で研究員を務めた後、2007年12月に信州大学に着任。研究分野はタンパク質の立体構造解析・機能解析を行う「構造生物学」、及び、タンパク質の改変やデザインを行い、応用を目指す「タンパク質工学」。研究室での実験風景(左上)、微生物で有用タンパク質を生産(右上)、宝石の輝きタンパク質結晶(左下)、放射光施設でⅩ線回折実験(右下)人工タンパク質ナノブロックによる自己組織化ナノ構造体の創出(Kobayashi, N., et al.,J. Am. Chem. Soc., 137, 11285‐11293,2015)サイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦7.8cm研究から広がる未来卒業後の未来像応用生物科学科タンパク質の形と働きを詳細に探究し、有用タンパク質の創出と応用に挑戦!54

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