H29_繊維学部_研究紹介
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直径100ミクロンの卵子も数ミクロンの精子も顕微鏡下で操作受精直後から精子中心体を基点にして微小管繊維網が発達教員紹介哺乳類における受精生理の解明と遺伝資源の保存・再生に取り組んでいる保地研究室。これまでにマウス、ラット、ウサギ、ネコ、ウマ、バッファロー、ウシ、クジラ、ヒトに至る動物種の配偶子(精子・卵子)を扱い、約100編の学術論文を公表しています。得意技は、未受精卵子や受精卵(胚)の新しい凍結保存法である「ガラス化技術」と高倍率の顕微鏡下で配偶子を操る「顕微操作」。マイクロマニピュレーターを駆使すれば受精シーンを再現した胚の作出だけでなく、クローン動物や遺伝子改変動物の創出も可能になるそうです。顕微授精技術や体細胞核移植技術の確立は、細胞の「生」の定義を「ゲノムDNAが保存されていること」だけに集約しました。永久凍土に凍結状態あるいはフリーズドライ状態で埋まっている絶滅種、マンモスの生殖細胞・体細胞もこの意味では「生きている」可能性があり、最先端の生殖工学技術の力を借りることで「マンモス復活」の狼煙が揚がるかもしれません。また、再生医療の切り札である多能性幹細胞(ES細胞・iPS細胞)をラットで樹立しました。これらを機能的な生殖細胞に分化させることができるならば、究極の不妊治療法となることでしょう。製薬・食品関係の企業、あるいは国・地方公共団体(公務員)といった就職先が一般的です。一方、8組に1組の夫婦が不妊に悩んでいると言われる昨今、高度な顕微操作技術を習得した学生は産婦人科関連クリニックに勤め、ヒト不妊治療に携わる技術者となった例も少なくありません。保地眞一教授雪印乳業(株)研究員、帯広畜産大学寄附講座教員、信州大学助教・准教授を経て2008年より現職。実験小動物から大型家畜、さらにはヒトに至る様々な哺乳動物の生殖細胞等を用い、生殖生理学、低温生物学、発生工学に関する研究を展開。研究から広がる未来卒業後の未来像ラット精子頭部は釣り針状の形をしているため注入操作は困難だったが、今ではフリーズドライ精子に適用できるまで改良された応用生物科学科顕微操作を駆使して受精の神秘に迫り、遺伝資源を保存・再生・活用する!教員紹介環境分析や毒性調査、環境浄化法の開発まで環境汚染に関わる幅広い分野を研究している森脇研究室。ポイ捨てゴミを分析したり、洞窟に環境浄化に役立つ微生物がいないか探検に行ったり、と様々な研究を展開しています。近年、力を入れているのが生物の作る材料を利用した環境浄化法の開発。廃棄物となる繭を油吸着剤として活用したり、バクテリアの作る高分子や羊毛のタンパク質成分を浄化剤に使ったりと新手法を次々と開発しています。こうした浄化法は環境に負荷を与えない安全な手法として、その発展と応用が期待されています。環境汚染による生態系や人類に対する影響は、世界的に見て、現在も深刻な状況にあり、その解決が非常に重要です。また、日本においても地震のため、重大な環境汚染が引き起こされました。環境汚染の実態を理解するとともにその浄化法を開発することは人類の未来のために不可欠であると考えます。現行の環境浄化手法にはまだ改善すべき点も多く、充分な対策がなされていない汚染地域も少なくありません。環境分析および浄化の研究を通じて、様々な環境問題に実際に役立つ成果を得たいと思っています。環境研究や対策の次世代のリーダーとなれる人材を育成すべく教育・研究を進めています。多くの学生が研究室での経験を生かして、公務員となったり、環境分析や検査を行う企業へ就職したりしています。卒業生は様々な場で環境マインドを持った社会人として活躍しています。森脇洋教授大阪市立環境科学研究所研究員、信州大学繊維学部准教授を経て、2015年より現職。研究分野は環境浄化法・環境分析法の開発や環境モニタリングといった環境化学ならびに分析化学。世界では安全な水にアクセスできず、感染症にかかる子供が多数います。水の浄化は非常に大きな研究テーマであると考えています大阪城の堀の泥を分析し、350年間の大気環境の歴史を再現しました。戦争の空襲が環境に最も悪影響を与えていたことが分かりました研究から広がる未来卒業後の未来像水質汚濁 世界的に重大な問題新しい浄化法生物資源の利用・安全かつ環境にフレンドリー・低コスト・廃棄物利用注)写真はイメージ図です。 安全な水を作る!・羊毛・くず繭・バイオポリマー水質汚濁 世界的に重大な問題新しい浄化法生物資源の利用・安全かつ環境にフレンドリー・低コスト・廃棄物利用注)写真はイメージ図です。 安全な水を作る!・羊毛・くず繭・バイオポリマー応用生物科学科生物の作る材料を利用した環境浄化法を開発する!53

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