H29_繊維学部_研究紹介
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教員紹介有機分子には、鏡像関係にあるいわゆる左手右手系分子が存在する場合があります。鏡像関係にあるため、それらの化学的、物理的性質はほとんど同じですが、生体にとっては異なる分子であるため、特に医薬品開発においてそれらを区別して合成することが重要になります。当研究室では,それら左手右手系分子の一方を選択的に合成するための不斉触媒の開発を中心テーマとして研究を行っています。新しい触媒の創出には触媒をいかにデザインするかが重要ですが、希少金属を用いない、簡便に合成可能、高選択的高活性をキーワードにした新規な触媒創出を目指しています。有機合成化学は、新しい材料や医薬品を開発する上で必要不可欠な技術であり、新しい反応、触媒の創出は、有用物質の効率的合成のため重要です。当研究室では、有機合成において重要な炭素-炭素結合形成反応の他、基本反応であるエステル化反応を触媒する不斉触媒の開発を行っています。不斉エステル化反応によりバイオマスであるグリセリンの機能化、光学活性アルコール、アミンの簡便供給が期待されます。有機合成化学は、実際に有機分子に触れ、その反応性、物性を体感する研究分野であるため、有機化合物が関係する広い分野での活躍が可能です。製薬関係のほか、低分子、高分子製品製造メーカーに卒業生を輩出しています。藤本哲也准教授信州大学大学院工学系研究科機能高分子学専攻修了。研究分野:有機合成化学。特に有機合成における新規手法、新規触媒の開発。実験室風景。様々な試薬や溶媒、ガラス器具を使い目的とする有機化合物を合成していく。生成物の構造はNMRなどで確認するサイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦2.5cm原子の性質に基づき設計された不斉エステル化触媒とその反応。ジオール中の2つの等価な水酸基を区別してエステル化が進行する研究から広がる未来卒業後の未来像NNOPh2PCatalystRROHOHCatalystC6H5COCl, i -Pr2EtNRROCOC6H5OHUp to 94 % ee18214151617He678910CNOFNe1415161718SiPSClAr33343536AsSeBrKr化学・材料学科応用分子化学コース精密有機合成を可能にする―原子の特性に基づく高選択的有機分子触媒教員紹介マクナミー究室では、「界面・コロイド化学」をキーワードとして、洗剤・牛乳のような身の回りにごくありふれたものから、ナノテク・バイオにわたる幅広い分野の研究を行っています。ナノテク研究では、空気-液体界面に粒子が一層並ぶ性質を利用して、磁気・半導体デバイスのモデル系となる粒子膜を基板上に作製しています。粒子種、構造、配列、配向等を制御することにより、安価かつ高性能なデバイスの作製を目指します。バイオ研究では、1)関節部分の摩擦を軽減する潤滑膜の創製、および2)モデル系での実験による糖尿病などの病気の原因解明、を行っています。マクナミー研究室では、界面化学の観点から、ナノテク・バイオ分野の研究を行っています。具体的なデバイスを作製しているわけではありませんが、モデル系での実験を通じて、その指導原理となる基本方針の確立を目指しています。現在の社会人に求められるのは、自ら考え、自ら行動して、自ら解決する能力を身につけることだと思います。当研究室では、学生が主体的に研究を行うことにより、その能力を身につけるように指導を行っています。マクナミーキャシー准教授卒業大学:B.Sc. (hons), B.A.: University of Queensland(オーストラリア)D.Sc.: 京都大学国際共同研究:マックスプランク高分子科学研究所(ドイツ)研究分野:コロイド・界面化学基板に累積された粒子の単分子膜生体組織モデル系(脂質膜、DPPC)への生理活性分子のバインディングと蛍光顕微鏡像粒子固体研究から広がる未来卒業後の未来像化学・材料学科応用分子化学コース界面・コロイド化学:洗剤・牛乳からナノテク・バイオまで48

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