H29_繊維学部_研究紹介
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教員紹介鈴木研究室では、油・有機溶媒・水溶液といった液体をゲル化するような低分子ゲル化剤の開発とその応用研究を行っています。低分子ゲル化剤は、油処理剤をはじめ化粧品、医療・医薬、食品、文房具、塗料・インキ、電子デバイス、液晶等多くの分野でニーズが高い材料です。L-アミノ酸を基盤としているため、生分解性・生体適合性などの特性を持ち環境にやさしい材料です。このような超分子化学をもとにした材料の設計・開発・応用研究は、非共有結合を利用した材料特性や物理化学的性質の制御という点で期待されている研究分野です。低分子ゲル化剤は、超分子ゲル中でナノファイバーを形成するため、多くの応用研究がなされています。例えば、色素増感太陽電池のゲル電解質としての利用、無機酸化物の鋳型重合による酸化チタンナノファイバーネットワークの創製あるいは細胞培養基材としての評価等の応用研究がなされています。今後、高分子と同じように我々の生活の中に低分子ゲル化剤が浸透していくことが期待されています。主に、化学メーカーなどへ就職します。鈴木研究室では有機合成のテクニックの習得や種々の測定機器の使用によって、化学研究者としてのスキルを身に着けられるので、幅広い分野で卒業生が活躍しています。鈴木正浩教授信州大学大学院総合工学系研究科助手、准教授を経て、2015年から現職。主な研究テーマは、低分子ゲル化剤の開発と応用研究、機能高分子材料の開発、人工光合成系の構築等。L-アミノ酸系低分子ゲル化剤によって形成された有機溶媒の超分子ゲル。逆さまにしても落ちてこないほどしっかりとゲル化している低分子ゲル化剤が超分子ゲル中で形成するナノ構造、色素増感太陽電池のゲル電解質、TiO2の鋳型作製、細胞培養基材への応用研究から広がる未来卒業後の未来像トルエンニトロベンゼンエタノールSiオイルアセトン有機溶媒の超分⼦ゲル超分⼦ゲルTiO2ナノファイバー⾊素増感太陽電池繊維芽細胞の培養ゲル化剤のナノ構造化学・材料学科機能高分子学コース世の中のあらゆる液体をゲル化!?超分子ゲルの幅広い応用を模索!教員紹介人々の暮らしに欠かせない材料のひとつ「繊維」。この繊維をもっと役立つモノにしていこうという研究に取り組んでいます。現在は、さまざまな異種素材との組み合わせによって、繊維を強くしたり(高性能化)、導電性や抗菌性を付与したり(高機能化)する研究に力を入れています。たとえば、ナノサイズのセルロースやカーボンナノチューブ、金属ナノ粒子などをうまく組み合わせることで繊維単独では発揮できない性質を与えてやることを目標に研究を押し進めています。たとえば、今あるものより2倍強い繊維ができたとします。その結果、信頼性も2倍大きくなりますので、安心・安全社会の構築に貢献できます。また、従来使用していた分と同じ強さが必要な場面では、強くなった分だけ繊維の使用量を半分にすることができます。これにより、使用する材料の量(ひいては廃棄時のゴミも)を半減できたり、飛行機や自動車のような移動体に利用される場合は、ボディーの軽量化により燃費が向上し省エネルギーにつながります。繊維の高性能化・高機能化は、人類の未来に貢献できる研究です。化学・材料会社に就職する者が多いです。繊維系会社はもちろんのこと、非繊維系会社でも繊維を取り扱う企業が多いので、他の大学ではなかなか学ぶことができない繊維に関する知識を修得したという強みを全面に押し出して活躍してくれることを願っています。後藤康夫教授信州大学繊維学部助手を経て、2007年より現職。研究分野は繊維・高分子材料学で、現在は有機材料と無機材料を組み合わせた複合材料や、高分子固体の物性の研究に注力している。繊維の原料となる紡糸溶液調製のために、ポリマーを溶媒に溶解している様子サイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦2.5cm作製した繊維を加熱プレート上で延伸(引き延ばし)しているところ。この処理により、繊維強度は10倍以上大きくなる研究から広がる未来卒業後の未来像繊維の走行方向化学・材料学科機能高分子学コースより安全に、より快適に。わたし達の暮らしを支える高機能繊維を作る38

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