H29_繊維学部_研究紹介
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個々の水分子は周囲の水分子が作る場からミクロな摩擦力を感じて運動する。この摩擦力の性質と水分子大集団の挙動との関連を探る教員紹介「水と生体分子」が私達のキーワードです。ほとんどの生命現象は水中で起こっているからです。生命を支えるミクロな世界の仕組みを「分光法」や「散乱法」と呼ばれる方法で探っています。特別な性質を持った光(電磁波)を様々な物質に当て、反射、透過、または散乱された光を上手に検出すると、ピコ秒(=百万分の1秒の更に百万分の1)で繰り広げられる非常に速い分子運動や、ナノメートル(=10億分の1メートル)の微小な世界で「蛋白質と呼ばれる分子機械」が働く様子を捉えることが出来ます。研究成果は、医薬品、化粧品や洗浄剤などの開発にも役立てられています。即座に社会還元が可能な実用研究が注目されがちですが、私達は基礎研究の深化を大切にしています。プロの研究グループとして、有数の学術誌に研究成果を発表し、世界に情報発信します。水・蛋白質・高分子・ゲル・界面活性剤などが関わる化学物理分野では、基礎研究と製品開発が密接に関連します。1つの分野に造詣が深くなければ、スペシャリストにもジェネラリストにもなれません。培った深い理解力が社会で強みになります。私達の研究成果や技術は、医薬品・化粧品・洗浄剤開発等の産業界へと繋がります。学術研究を通じ、学生の皆さんの問題解決能力・洞察力・国際スキルを高め、分野を問わず、国内外で活躍できる人材を輩出することを目標とします。佐藤高彰准教授早稲田大学出身。日本学術振興会特別研究員DC2、同PD、早稲田大学理工学術院講師、信州大学国際若手研究者育成拠点助教を経て2012年4月より現職。水と生体分子を含むソフトな系を学際的に研究する。人口酸素運搬体などの研究にも携わる。専門は化学物理。小角散乱法という手法で、微小な世界での蛋白質の集団的な振る舞いを調べる。筋肉繊維、細胞骨格、赤血球機能や代謝にも関連するサイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦2.5cm研究から広がる未来卒業後の未来像化学・材料学科ファイバー材料工学コース生命現象を支えるミクロな仕組みを物理と化学の力を使って探究!教員紹介燃料電池は、環境問題・エネルギー問題を解決するための切り札として期待されています。福長研究室では、白金を使わない燃料電池の開発に取り組んでいます。その一つは、高温で作動する固体酸化物形燃料電池で、反応速度が高いため貴金属の触媒を必要としません。もう一つは、低温で作動して扱いやすい固体高分子形燃料電池で、白金の代替触媒として、シルクを原料とする活性炭の開発に取り組んでいます。いずれも、電極の中のガスやイオン・電子の移動が重要で、新規材料の開発とともに、電極構造の最適化に取り組んでいます。燃料電池は、エネルギーを効率よく取り出せる夢の技術です。大型の発電所、家庭用の発電機、自動車の動力、携帯機器の電源、人工臓器の動力など用途は広がっていきます。しかし、普及には低コスト化が欠かせません。シルクを原料とした活性炭は安価な触媒として期待されますが、どうして触媒性能を有するのかはまだ謎も多いのです。この研究が進み、電極の白金を代替することができれば、燃料電池はどんどん身近に使われるでしょう。化学工学を活かせる分野は多く、卒業後は化学、電気・電子、自動車、エネルギー関連など幅広い分野に就職しています。福長博准教授信州大学繊維学部助手を経て、2009年より現職。主な研究分野は、固体酸化物形燃料電池や固体高分子形燃料電池を対象とした化学工学と電気化学。作製した固体高分子形燃料電池の電極固体酸化物形燃料電池の発電装置研究から広がる未来卒業後の未来像化学・材料学科ファイバー材料工学コース燃料電池を身近なエネルギーに!33

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