H29_繊維学部_研究紹介
34/68

教員紹介村上研究室は、無機ナノファイバや化粧品用紫外線吸収剤や白金ナノワイヤ燃料電池触媒などの材料を開発し、世の中に提供してきました。多様な産学連携経験からのアイデアと、オリジナルな触媒技術に特徴があります。現在は、次のようなテーマに力をいれています。1.水の利用水を水蒸気に、水蒸気を水に、できるだけエネルギーを使わずに変換するシステムを開発しています。企業の望むことをすれば実用化するように思われていますが、実際にはうまくいきません。新しい市場が広がらないと、研究成果が世の中で使われません。誰も考えなかった新しいビジョンを提案することで、はじめて大きな研究に発展します。新しいビジョンを提案できる研究者に育ってもらいたいと思っています。研究室で鍛えられたことを活かして材料開発で活躍している先輩が多いです。大手化学メーカーに就職し、新しい材料を開発して、社長賞を受賞した人もいます。研究開発は予定通りにいかないことが多いので、シンプルな考え方とたくましさを身に着けることで、どこでも通用する研究者に育ちます。村上泰教授1993年に繊維学部に着任2007年から現職。2014年から、京都スーパークラスター長野サテライト研究統括を務めるなど、先進的な材料開発を行っている。研究分野は材料化学。研究から広がる未来卒業後の未来像光触媒などに用いられる酸化チタンナノファイバー写真サイズ高さ4.35cm×幅3.6cm配置位置横15.3cm、縦2.85cm高活性で寿命の長い白金/シリカ燃料電池触媒化学・材料学科ファイバー材料工学コース先進的利用を目指した材料の開発水の利用・熱の制御・人肌の触感2.熱の制御パワーエレクトロニクスの発展に欠かせない耐熱絶縁材料の開発に取り組んでいます。熱伝導性のよい柔軟な綿、耐熱性の高いゴム、塗布する形の難燃剤などを開発しました。また熱を電気に変えるシステムを日経BPのリアル開発会議の中で開発しています。3.人肌の触感人肌の触感のシリコーンゴムを合成しています。これからは癒しの触感が材料に求められると思います。教員紹介研究から広がる未来卒業後の未来像化学・材料学科ファイバー材料工学コース『水』の能力を活かしてバイオマスから機能性材料を創る長田研究室では、『超臨界水(高温高圧水)』や『ウォータージェット(マッハ2以上に加速された水)』というちょっと変わった『水』を用いた化学の研究を行っています。自然界では『水』がもつ能力を活かして、日々いろいろな物質が作られています。自然から学ぶことで『水』の機能を最大限引き出し、環境に優しい化学が実現できると考えています。この『水』を使って、有効利用されずに捨てられている農林水産残渣などの地域資源バイオマスから付加価値の高い機能性材料(食品や医薬品)を創っています。例えば、イカ中骨に含まれるキチンからナノファイバーをウォータージェットで作っています。大学で学んだことを活かして、化学・食品・医薬品メーカーなどで、世界を舞台に技術者・研究者として活躍することを期待しています。技術的な視点だけではなく、社会的・文化的な背景も考えられる力をもつことも重要です。長田光正准教授東北大学で博士号を取得後産総研の研究員、ミシガン大学在外研究員、一関高専の准教授を経て、2014年から現職。専門は、化学工学、超臨界流体工学、バイオマス変換工学水の持つ機能を最大限発揮するために温度、圧力を操作した新たな化学反応場を探求しています未利用水産残渣のナノファイバー化農林水産残渣からの高付加価値材料づくり化学というと色々な薬品を使うイメージがあるかもしれませんが、それを環境に優しい“水”に置き換えることが私たちの目的です。水は、1気圧では、100℃で沸騰しますが、圧力をかけると100℃以上でも液体状態を保ちます。温度、圧力を操作することで水の物性(pHなど)もコントロールできます。つまり、酸・アルカリを使わなくてもpHが変えられます。この“水”を使って、薬品をできるだけ使わずに、様々な化学製品を作る方法を実現します。●超臨界流体固体液体気体圧力22.1 MPa温度374℃0.1MPa(大気圧)100℃0℃超臨界水臨界点超臨界水と高温高圧水とは2004006001197525圧力24MPapHpOH温度[oC]水の物性の温度依存性常温常圧では水の中性はpH=7ですが、温度とともに中性のpHは水だけでも変化します農林水産残渣・バイオマス高付加価値な機能性材料タンパク質(魚鱗)コラーゲンペプチドリグニン(木材)フェノール化合物高温高圧水処理βグルカン(キノコ)βグルカンオリゴ糖キチン(カニ、キノコ)キチンオリゴ糖長田研究室研究から広がる未来卒業後の未来像化学・材料学科ファイバー材料工学コース『水』の能力を活かしてバイオマスから機能性材料を創る長田研究室では、『超臨界水(高温高圧水)』や『ウォータージェット(マッハ2以上に加速された水)』というちょっと変わった『水』を用いた化学の研究を行っています。自然界では『水』がもつ能力を活かして、日々いろいろな物質が作られています。自然から学ぶことで『水』の機能を最大限引き出し、環境に優しい化学が実現できると考えています。この『水』を使って、有効利用されずに捨てられている農林水産残渣などの地域資源バイオマスから付加価値の高い機能性材料(食品や医薬品)を創っています。例えば、イカ中骨に含まれるキチンからナノファイバーをウォータージェットで作っています。大学で学んだことを活かして、化学・食品・医薬品メーカーなどで、世界を舞台に技術者・研究者として活躍することを期待しています。技術的な視点だけではなく、社会的・文化的な背景も考えられる力をもつことも重要です。長田光正准教授東北大学で博士号を取得後産総研の研究員、ミシガン大学在外研究員、一関高専の准教授を経て、2014年から現職。専門は、化学工学、超臨界流体工学、バイオマス変換工学水の持つ機能を最大限発揮するために温度、圧力を操作した新たな化学反応場を探求しています未利用水産残渣のナノファイバー化農林水産残渣からの高付加価値材料づくり化学というと色々な薬品を使うイメージがあるかもしれませんが、それを環境に優しい“水”に置き換えることが私たちの目的です。水は、1気圧では、100℃で沸騰しますが、圧力をかけると100℃以上でも液体状態を保ちます。温度、圧力を操作することで水の物性(pHなど)もコントロールできます。つまり、酸・アルカリを使わなくてもpHが変えられます。この“水”を使って、薬品をできるだけ使わずに、様々な化学製品を作る方法を実現します。●超臨界流体固体液体気体圧力22.1 MPa温度374℃0.1MPa(大気圧)100℃0℃超臨界水臨界点超臨界水と高温高圧水とは2004006001197525圧力24MPapHpOH温度[oC]水の物性の温度依存性常温常圧では水の中性はpH=7ですが、温度とともに中性のpHは水だけでも変化します農林水産残渣・バイオマス高付加価値な機能性材料タンパク質(魚鱗)コラーゲンペプチドリグニン(木材)フェノール化合物高温高圧水処理βグルカン(キノコ)βグルカンオリゴ糖キチン(カニ、キノコ)キチンオリゴ糖32

元のページ  ../index.html#34

このブックを見る