H29_繊維学部_研究紹介
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教員紹介「『生きもの』と『モノ』はどこが違うのか」とは超難問だが、直感的にはわかっている。それは本当だろうか?我々は路傍の石を無情に蹴り上げ、転んだ隣人に慈悲をもって手を差し伸べる。それは本当か?当研究室では、動物の本能行動を観察するとき、どうしても見えてしまう余計な行動がどのような意義をもつのかを、実験を通して探ることで、直感的といわれる「本能=適応的、余計=非適応的」という見取り図を書き換える努力をしています。その努力は、「バイオ(ロジー)=エンジニアリング」という見取り図を作り、バイオエンジニアリングを縁の下から支えます。10年前の研究対象はダンゴムシだけでしたが、今では深海数百メートルにすむオオグソクムシの心理学や、西表島にすむミナミコメツキガニとロボットの社会形成などに取り組んでいます。おかげで、学会活動も、動物行動学だけではなく、認知科学やロボット学へと広がっています。最近では、心理学の催しで話題提供を求められ緊張しましたが、ビジネス雑誌のインタビューを受けたときは、掲載して大丈夫?と思いました。研究室立上げ→地元家具店のKR、家督継承のKT、国際学術誌第1著者→俳優のMT、イベント会社→ママチャリ日本1周のMJ、卒研突撃アンケート→結婚企画のKM、実験室建設→国防?企業のI、台風の西表島単身上陸→一流教育会社内定のUN森山徹准教授キーワード:ダンゴムシ、オオグソクムシ、ミナミコメツキガニ、動物の心、モノの心、自律性、創発性、わたくし性、比較認知科学、動物心理学、動物行動学。研究室のホームページは「森山徹」で検索。オカダンゴムシの研究著書:森山徹,ダンゴムシに心はあるのか,PHP研究所,2011.オオグソクムシの研究論文:MatsuiT,MoriyamaT,KatoR,ZoologicalScience,受理.研究から広がる未来卒業後の未来像機械・ロボット学科バイオエンジニアリングコース動物の実験で「バイオ=エンジニアリング」を考える教員紹介パタキ研究室では、圧力分布解析手法を開発し、歩行研究を行っています。生物が動いたり休んだりすることによって、体の接触面に圧力が発生し、その力分布を圧力センサー配列で画像として記録します。そして国内や海外共同研究者達と様々な応用にアタックしています。イギリス王立獣医大学とゾウの足部の成長と医学的問題、リバプール大学とヒトの歩行進化、ミュンスター大学と個人識別。このように多様な応用があり、環境との機械的相互作用情報が沢山ある圧力分布の重要性及び可能性を模索し、その中の秘密に挑戦しています。犯罪者の捜索、銀行や空港警備の補助、スポーツ選手の技能改善、お年寄りの転倒警告等々・・・人がいるところには何がしかの圧力が生まれ、かかっていますので、このような応用が全部可能です。しかし、圧力データは大変複雑なものですので、まず情報をうまく読み取る手法を開発し、未来の可能性を広げようと思っています。臨床バイオメカニクス、スポーツ科学、バイオフィードバック・システム開発等、様々な分野での活躍が期待されます。パタキトッド准教授カナダのトロント出身。ペンシルベニア州立大学を卒業後、株式会社国際電気通信基礎技術研究所、リバプール大学にてPD、2013年10月より現職。12年間バイオメカニクス研究を楽しんで行っている。研究から広がる未来卒業後の未来像圧力板という圧力測定センサー配列システムを5mmと200Hzの解像度で測定し、ヒトや動物の力学的歩行動作を細かく検査するサイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦7.8cm動物園に住むゾウの死亡率50%以上は、足の問題が原因です写真サイズ高さ4.35cm×幅3.6cm配置位置横15.3cm、縦2.85cm人の足底圧パターンは特異な物なので個人識別が可能写真サイズ高さ4.35cm×幅3.6cm配置位置横15.3cm、縦2.85cm機械・ロボット学科バイオエンジニアリングコース足底圧分布でゾウの健康から個人識別まで28

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