H29_繊維学部_研究紹介
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教員紹介生体を機械部品として、直接的に人工システムに取り込むことで、従来の機械システムとは異なる新しい技術の創出を目指しています。例えば、筋肉は、生物が40億年の進化の末に獲得した大変優れたアクチュエータ(駆動源)です。そこで、モーターの代わりにこの筋肉を取り込むことで、電気や化石燃料を必要としないだけでなく、生体の持つ自己組織化・自己修復機能を備えたバイオハイブリッドロボットの創成を目指します。また一方で、細胞を磁場によって操作する技術を確立し、細胞から移植可能な生体組織を組み上げるシステムの開発も行っています。現代社会は化石エネルギーに依存していますが、それらの可採年数は150年程度と言われています。筋肉で駆動するロボットが出来れば、エネルギー問題を解決することができます。また、各組織の細胞へと分化することが出来るiPS細胞が注目を集めています。これらの細胞を用いて移植可能な三次元組織を構築することが出来れば、再生医療の発展に大きく貢献できます。2014年4月始動の研究室のため、卒業生はまだ出ていませんが、前職での卒業生は、生物が分かる機械屋として医療機器メーカー、微細加工技術を活かして精密機器メーカー等に就職しています。秋山佳丈准教授東京農工大学大学院を修了後、日本電子株式会社、東京農工大学生物システム応用科学府特任助教、大阪大学工学研究科講師を経て、2014年より現職。専門分野は、生物工学、微細加工、再生医療とそれらの融合領域。研究から広がる未来卒業後の未来像サイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦2.5cm生体の筋肉によって動くデバイスの例(左)自律歩行するマイクロロボット、(右)大気中で動くマイクロピンセット磁場によって細胞から組織を組み上げるイメージ(左)とそのためのシステム概要(右)機械・ロボット学科バイオエンジニアリングコースバイオハイブリッドによる新技術創出マイクロロボットから再生医療まで教員紹介研究から広がる未来卒業後の未来像機械・ロボット学科バイオエンジニアリングコース安全・安心な医療技術を実現する、整形外科疾患の手術シミュレーション私たちの身体を支える骨が折れてしまったり変形してしまったときには、その程度によっては手術をして正しいかたちに戻す必要があります。このとき、手術中や手術後に骨に加わる力を正しく見積もらなければ、手術が失敗してしまったり、再手術が必要になってしまうかもしれません。小関研究室では、病院で使われているX線CT装置を使って患者さんそれぞれの骨の「かたち」をモデル化し、体の中で骨にどのような力が加わっているのか、コンピュータを使って解析しています。そして、医師と共同で手術手法の妥当性の検証や、新しい手術手法の提案を行っています。小関研究室では、「生物」を対象に「機械工学」の考え方を「情報工学」を使って検討しています。このため卒業研究を通じて幅広い分野の知識と問題解決能力が身に付きます。卒業後の進路も多彩で、どんな分野でも活躍できるでしょう。小関道彦准教授富士通株式会社、東京工業大学大学院理工学研究科機械制御システム専攻助手等を経て、2009年より現職。骨体の力学シミュレーションだけでなく、医用画像計測機器の性能を向上させる研究も行う。サイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦2.5cm写真説明サイズW3cm×H2.65cm配置位置横0.5cm、縦7.42cm病気や怪我の際、医師はコンピュータシミュレーション結果に基づいて診断や治療方法を決定し、患者さんは結果を見ながら説明を受けることにより自分の症状をよく理解できるようになります。また、私たちの骨の「かたち」と力の加わり方の関係がわかれば、成長を予測することが可能となり、骨に負担がかからないように予防することができます。目指しているのは、お医者さんにも患者さんにも優しい未来です。信州大学医学部整形外科の医師と共同で、脊柱側弯症と呼ばれる疾患の手術について、より安全な手法の検討を行っています。骨盤を引き締めるダイエット手法が様々提案されていますが、その効果について力学的な観点からコンピュータシミュレーションを行います。ある手法を続ければ、お腹が凹み、骨盤の横幅が広がってウエストが強調される体形になれるかも!?27

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