H29_繊維学部_研究紹介
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教員紹介私の研究室では、「人間」、「非侵襲」、「バイオセンサ」を研究のキーワードとして、だ液分析による生体計測という新しい研究分野を切り開いています。非侵襲生体計測とは、ヒトの体に傷をつけることなく様々な情報を取り出し、健康の維持や病気の診断・治療に利用するための技術です。また、生体の優れた機能を模倣することで(バイオミメティクス)、物質表面の撥水性や親水性を物理的に制御する技術や,機械強度に優れた3次元樹脂成形物の試作を行う「3Dプリンタ」の研究を行っています。渋滞する自動車、店頭に山積みされた食品、地震で揺れるビル等では、様々な量が時間とともに変化し続けています。自然や人工物だけでなく、人の体も情報を発信していて、呼吸数や表情の変化だけでなく、唾液中のマーカーとして表に現れます。これらの生体情報を、科学的な見地に基づいてしなやかに統合することで、心身ストレスを可視化しようとする試みが活発化しています。将来は、病気の超早期診断や予防医療技術に繋がると考えられます。卒業生は,医療機器メーカーや製薬メーカーといった企業はもちろん、製品が人とかかわりの強い自動車メーカー、食品メーカー等で活躍しています。「人間を科学する」能力や専門性は、これからの新しい社会へ貢献できることでしょう。山口昌樹教授信州大学を卒業後、ブラザー工業㈱,東京農工大学助手、富山大学助教授、岩手大学教授を経て2015年より現職。研究分野は生体医工学、バイオミメティクス,ストレス科学。研究から広がる未来卒業後の未来像だ液を分析して人の心身ストレス度合を可視化するセンサハスの葉の撥水性(左)を人工的に作り出した表面(右) 機械・ロボット学科バイオエンジニアリングコース生体は情報を発信する教員紹介生物の機能や構造に学び、それを模倣した機械システムとしてロボットは発展してきました。近年、生物の仕組みをより深く学ぶことにより、生物とロボットが有機的に結合したシステムを実現することが可能となってきました。橋本研究室では、様々なレベルでの生物とロボットの統合により、人に優しいモノづくりの技術の確立を目指しています。具体的には、生物のリズム運動の仕組みに学んだウェアラブル・ロボティックスーツ、人の感情を読み取って癒しを与えるコミュニケーションロボット、高分子ゲルや細胞培養技術を用いた人工筋肉の創製などの研究を行っています。日本は世界でも稀なスピードで高齢化が進んでおり、20年後には3人に1人が65歳以上の高齢者になることが見込まれています。こうした中で近い将来要介護者の増加が必至ですが、バイオロボティクスのアシスティブテクノロジーは、こうした社会問題を解決するキーとなるものと考えられます。高齢者の身体機能の低下や精神的孤独感をアシストするロボット技術によって、子供から高齢者までが幸せに生活できる社会の実現が可能となるでしょう。医療・福祉分野をはじめとして自動車、機械、電気など幅広い分野で、人に優しいモノづくりが必要となってきています。生物学と工学の知識や技術を身につけて、これらの分野で活躍できる研究者や技術者を養成しています。橋本稔教授電気通信大学助手、鹿児島大学助教授を経て、1999年より現職。研究分野はバイオロボティクス。個性あふれる学生と、わくわくどきどきの毎日です。皆さんもバイオロボティクスの研究に参加してみませんか。生物のリズム運動に学んだウェアラブル・ロボティックスーツ高分子ゲルや細胞培養技術を用いた人工筋肉の創製研究から広がる未来卒業後の未来像人の気持ちを読み取って癒しを与えるコミュニケーションロボット機械・ロボット学科バイオエンジニアリングコースバイオに学ぶロボットからバイオと統合するロボットへ26

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