H29_繊維学部_研究紹介
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モーションキャプチャ(人間の動作を計測して記録する)の装置を用いて、人間が衣服を着装する動作の計測を行っている教員紹介わたしたちは様々なものに囲まれて暮らしています。これらのものはほんとうにわたしたちに合っていて使いやすく快適なものでしょうか。ひとりひとりのためにものをつくろうとすると、時間や手間がかかってしまうために、どうしても高価なものになってしまいます。そこで、研究室では人手によるひとりひとりのためのものづくりに、情報技術をとり入れることによって、設計や試作の手間を大幅に軽減し、効率を飛躍的に向上させることを目標としています。従来このような手法が取り入れられてこなかった、衣服など柔軟物を材料とした製品を対象としています。未来の服作りは...まず自分の体の形を測りますが、自宅で簡単に計測するとこができます。次に自分の体の形を土台にして、仮想的に衣服の設計・試作を行います。通常は専門家に依頼しますが、練習すれば自分で作ることも不可能ではありません。また、自分がそれを着た状態を見ることができます。出来映えに満足できれば、設計されたデータを工場に送ります。しばらくすると自分だけの、自分にぴったりの服が送られてきます。感性工学課程では幅広い知識と深く考える力を身につけ、このような力をさまざまな業種で発揮しています。研究室からは公務員などの例もありますが、主にメーカーやIT企業を中心に活躍しています。乾滋教授繊維高分子材料研究所、物質工学工業技術研究所、産業技術総合研究所主任研究員を経て2002年より信州大学繊維学部へ。主な研究分野は情報技術の繊維分野への応用。研究から広がる未来卒業後の未来像人間が衣服を着装する動作を計算によりシミュレーションするたて糸よこ糸から実際に織機で布を織ることを仮想的に再現先進繊維・感性工学科感性工学コースひとりひとりに合った、使いやすく、心地よい、ものづくりのために教員紹介感性を人と人、ヒトとモノとの関係を互いに理解し合うコミュニケーションツールとして考えるとたくさんのコミュニケーション方法があれば、相手のことを人はより深く理解できます。“着心地”、“座り心地”、“触り心地”、“使い心地”、“寝心地”、“乗り心地”、“見易さ”などの製品との関係は、脳、心臓、筋肉などの生理反応や表情、手足の動作から、快適感/ストレスを表現する言葉を作れれば、簡単に理解できるようになるはずです。人が発するあらゆる情報を計測して、心地を伝える新しい尺度をつくる研究は、あらゆる産業から注目されています。『考える被服:インテリジェントClothing(IC)』の開発が将来の目標です。ICは着装者の健康データを24時間測り、快適/ストレス状態を見える化します。ICによって、人の快適/ストレスがいつも計測でき、着心地、乗り心地、座り心地、寝心地などの心地を見える化するだけでなく、自分の健康を保持するための予防医療・健康支援技術が可能になります。生理反応や心理反応を測定して製品を評価できる感性計測は、自動車、化粧品、寝具、住居、家電、文房具、情報などあらゆる産業で注目されています。様々な産業の研究開発、企画開発の技術者として卒業生は活躍しています。上條正義教授信州大学繊維学部助手、准教授を経て、2009年から現職。主な研究分野は感性工学、計測工学、生体システム工学など。よく学び、よく楽しむが研究室の合言葉。球技大会などイベントが多い。「いい笑顔」「眠そうな顔」「疲れている?」表情から人の状態を推測できます。表情を感性を測る指標とするための研究研究から広がる未来卒業後の未来像自動車の運転のしやすさを筋や心臓などの生理活動を計測することによって評価する研究先進繊維・感性工学科感性工学コース感性計測:快適感を表現する技術をつくる!13

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