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03医療技術は近年大幅に進歩しているものの、癌、認知症、脳梗塞、難病といった、未だ克服されていない病は少なくありません。また、超高齢化社会を迎え、長く病に苦しむ人は多く、社会保障費は年々増え続けています。そうした社会的背景の変化に伴い「ヘルスケア」や「健康」といったキーワードは、経済活動の中でも大きな比重を占めるようになってきました。だからこそ、新しい医療技術の開発に対する注目度は高く、各方面から大きな期待が寄せられています。次世代医療研究センターが掲げる目標は次の3つです。 1.社会に役立つことを実現する  しくみを作る。 2.よりよい研究成果を生むしくみを作る。 3.適切な評価のしくみを作る。この目標を達成するため、基盤技術や診断技術の開発、また臨床での応用、市場化に至るまで「一気通貫」の研究システムを構築。これまでにない研究環境を作ることで、応用価値の高い優秀な技術の迅速な実用化を期待しています。「1を100にするだけでなく、0から1を生み出すような革新的研究を進めていきたいと思っています」。そう話すのは、センター長の沢村達也学術研究院(医学系)教授。目標にもある通り、新しいものを生み出すための「1000の空振り」も評価できるよう、評価制度を工夫していきたいといいます。次世代医療研究センターは、①次世代疾患モデル・基盤技術研究部門、②病態解明・医療応用研究部門、③創薬・診断技術開発部門の3つの部門に分かれ、眼科、循環器、産婦人科、麻酔蘇生、生理学など、各分野の医学系研究者が多数参画しています。その最大の利点は、異分野の研究者同士が同じフィールドに立つことで、自身の研究に対する新しい可能性に気づく次世代医療研究センター次世代医療の新基準で「最高の未来」を創る!信州大学次代クラスター研究センター特集 Vol.5新しい研究・評価システムを構築し超高齢化社会に挑む異分野研究者が集う自由闊達な研究センター。そのミッションは?菌類・微生物ダイナミズム創発研究センター食農産業イノベーション研究センター社会基盤研究センター次世代医療研究センター航空宇宙システム研究センター信州大学次代クラスター研究センター一気通貫のシステムを完成1つずつstage upさせ各phaseでのノウハウを蓄積次世代疾患モデル・基盤技術研究部門病態解明・医療応用 研究部門創薬・診断技術開発部門基盤技術応用シーズ実用・市場化信州大学には、特色ある研究分野を先鋭化した先鋭領域融合研究群(5研究所)があり、この研究群の次の研究所を目指すのが5つの「次代クラスター研究センター」(図1)です。シリーズ最終回となる今回は、「次世代医療研究センター」を特集します。次世代医療研究センターには、医学系9分野の研究者22名、理学系の研究者1名、計23名が参画しています。その目標は、医療における「最高の未来」を創ること。既成概念にとらわれない「自由闊達にして愉快なる理想的研究所」というユニークなコンセプトを持っています。医学系“クリエイティブ”研究所とも呼べそうな、次世代医療研究センターの概要をうかがってきました。(文・柳澤 愛由)(図1)

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