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信州大学発の“人つながり”で伊那市長谷に移住これまでもWakka Japanは日本産米の輸出・販売を専門としてきましたが、米の自社生産は初めての試みです。特徴的なのは、海外への輸出を前提とした、特別な品種・農法に特化しているという点です。「グローバルな事業の中で、国ごとに違う価値観があることを肌で感じてきました」と出口さんは言います。特にアメリカでの消費は食味よりも「オーガニック」「健康」「栄養価」といった、商品に付随するストーリーや付加価値を重視する傾向が強い。「だからこそ、そうしたニーズにマッチし、特化した米を作れば新たな市場が拓ける」と考えたそうです。そうした構想を描いていた出口さんでしたが、しかし、理想とする農地に出会えなかったそうです。農薬や肥料を使わず、限りなく自然に近い形での栽培を進めるためには、上流に耕作地がない水源地帯であることが必要であり、また、その地域の住民の皆さんとの繋がりも大切だったからだと言います。転機となったのは、本誌「信大NOW」での濱田学長との対談でした。出口さんから、新しい米づくりの構想、特に農地探しについて相談を受けた濱田学長と伊藤広報室長から、「信大NOW」の連載「地域と歩む」取材で県内各地を訪ね歩いた小生に連絡が入り、信州での耕作地探し(株式会社Wakka Japan代表取締役 三代目俵屋玄兵衛)信州大学教育学部卒業生出口友洋さん学長対談をきっかけに“人つながり”で信州の山間地に移住、ハワイ市場に向けた米づくりに挑戦中!「山間地の耕作放棄地で美味しい米をつくり、海外に輸出、世界で販売する」…こんな話を聞くと「夢物語だ」と感じる人が多いかもしれません。しかし、それを実践しようとしているのが、信州大学教育学部卒業生の出口友洋さんです。2016年2月発行の信大NOW99号で、濱田州博学長と対談を行っていただいた、あの方です。出口さんは現在、香港、台湾、ハワイなどに米の販売店を展開し、「三代目俵屋玄兵衛」というブランドで日本産米の輸出・販売を手掛ける(株)Wakka Japanの若手経営者です。出口さんは濱田学長との対談の後、信州大学関係者のネットワークを通じて、自社農園用の農地を確保、2017年4月に長野県伊那市に農業生産法人Wakka Agriを設立して、現在、山間地の伊那市長谷地区で新しい米づくりに挑んでいます。信大NOWSpin oStories(文・毛賀澤 明宏)Spin o Stories「田植えを終えたばかり」と田んぼを案内していただいた。美和ダム湖を見下ろす景観は、まさに日本の里山を象徴するような美しさ。移住されてご近所に配られたというオリジナルの手ぬぐいもいただきました。別の田んぼではなんと地下灌漑の農法による稲作を始められた。その仕組みについて説明を受ける。13

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