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Dentsu司会・コーディネーター藤島淳さん電通クリエーティブディレクター、上海電通赴任等を経て、2014年に電通退社。ブランディングを主たる業務とする、ブランドア株式会社設立、代表取締役。上智大学講師(メディア・広告論)。(信州大学広報スタッフ会議外部アドバイザー)12を弾ませて語る来海さんの笑顔からは、子供や家族連れだけでなく、大人の女性に合せた商品開発への意欲が伝わってきました。「信州大学には農学部もあるのに、工学部の教授が開発したというストーリーは面白い」。ルーツから開発後の取り組みまで異彩を放つこの商品は、2年前、電通ビジネス・クリエイション・センターのエグゼクティブ・ディレクター金井毅さんによって、日の目を見ました。以来、信州大学が製法特許出願、電通が商標取得と、手を取りながら着実に事業を展開してきた果皮蜜プロジェクト。捨てられてしまう果皮を、高付加価値食品素材としてよみがえらせる。この取り組みを、きちんとビジネスの形に作り上げてきた金井さん。プロジェクト立ち上げから二年。育ての親としての愛情だけでない、ビジネスのプロとしての視点でも、果皮蜜を磨き続けています。「髙島屋さんやKouji&koさん、大泉工場さんなど、新たな協力者を得られて、果皮蜜のビジネス展開も見えてきました。現在、大手メーカーや海外のバイヤーからも引き合いが来ています。課題は生産量の向上と安定ですね。これまでは長野県産のりんごにこだわってきましたが、大きなスケールで考える段階に入ったと感じています。大量生産を実現するため、他県産のりんごも使って試作もしています。素材を他県から安定して仕入れるためには、現地の農家さんとの信頼関係が欠かせません。りんご以外の名産の果実を使ったご当地果皮蜜なんかも面白いかもしれませんね」。来年は、更なる進化をご報告できそうです。「果皮蜜」の生みの親・信州大学工学昨年、第9回「大学は美味しい!!」フェアで取材した信州大学と“あの”電通による「果皮蜜(かひみつ)プロジェクト」は、国立大学と大手広告会社がタッグを組んだ、新スタイルの共同研究として話題になりました。あれから1年…今年も10回目となる「大学は美味しい!!」フェアが開催され、「果皮蜜」は実におシャレに進化していました。新宿髙島屋の現場からレポートします。聞き手・文:谷口博幸(二十二世紀堂)(株)大泉工場 商事部来海なぎさん「果皮蜜フレーバーのポップコーンには、ただのおやつにとどまらないスタイリッシュな魅力と物語が詰まっています。新しい風を、ファンフード市場に吹かせてくれると確信しています」進化④果皮蜜×夢心が伝わる、つながる喜び部の松澤恒友特任教授には、果皮蜜の課題について伺いました。「果皮蜜をりんごジュースの残渣からも生産する技術が確立されつつあります。これでコストをおさえられますし、供給量の増産が見込めます。皮だけを使った高級ラインと、ジュースの残渣を使用したリーズナブルな商品に分けることも出来ますね。実は、りんご以外の果実でも果皮蜜を作ることに成功しています。高知県産ゆずの果皮蜜は酸っぱそうなイメージがありますが、甘味を加えずに糖度60度をマークしています。軟骨生成促進作用のあるガラクツロン酸が多く含まれています。新潟県産洋ナシの果皮蜜も開発中です。皮のあるものなら何でも作れますから、シリーズ化の構想もふくらみます。それぞれの生産者さんが心を込めて育てた果実を、無駄なく美味しく召し上がっていただけることの喜びが広がっています。生産者にとっては夢のような話ですよ」。「果皮蜜を通じて、新たなつながりが生まれる」。目を輝かせながら語る松澤教授。果皮蜜に秘められた使命の深さを垣間見る思いでした。一歩ずつ成長を遂げ、新たな仲間と時を得て、一足飛びの進化を遂げる果皮蜜。今後の展開に、ご期待ください。進化③果皮蜜×地産地消果皮蜜がつなぐ地域と地域大泉工場プロデュースの「果皮蜜プレミアムポップコーン」甘酸っぱいりんごの風味そのままの味わいが楽しめる。信州大学・松澤恒友特任教授&電通ビジネス・クリエイション・センター・金井毅氏「大手メーカーからの引き合いに応えるには、安定した生産量を維持する仕組みが必要。これをクリアすればビジネスとして成立する可能性がグンと上がる」仕掛け人はこの2人!

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