理学部研究紹介
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29理学科理学科物質循環学コース物質循環学コース研究から広がる未来研究から広がる未来卒業後の未来像卒業後の未来像フィンランド亜寒帯林の断面土壌中に存在する根系の形質や現存量・成長量・枯死量を測定し、植物の生き方や生活史を探る。マレーシア熱帯雨林の根系採掘の調査風景大きな根っこも小さな根っこも人力で丁寧に掘り集めていく。林野庁、環境省、国土交通省、国立公園レンジャー地方公務員(環境・山林部)、環境コンサルティング製紙会社、建設会社(植林部門)、青年海外協力隊など。1、植物の生存の仕組み森林生態系における炭素循環の解明から、植物、主に樹木根系の生存戦略を理解します。2、森林の炭素貯蔵森林生態系における炭素の吸収・固定・放出を実測することにより地球温暖化抑制のための方策を探ります。3、土砂災害の防止樹木根の土壌崩壊や侵食を防ぐ働きを調べ、崩落土砂による民家への被害を防止、軽減する策を講じます。大阪府茨木市生まれ。専門は森林生態学、土壌学。H20神戸大学卒業、H25京都大学修了 (博士(農学))。 日本学術振興会特別研究員PD(森林総研・ヘルシンキ大学)を経て、H28より信州大学理学部に助教として在籍。牧田 直樹 助教牧田 研究室根っこや土の物質の動きを通して森林生態系のしくみを研究しています。国内では長野・京都・北海道の森林、国外ではマレーシア、フィンランド、アラスカ等の森林。熱帯から温帯・亜寒帯まで、スコップ片手に飛び回っています。植物の光合成によって獲得された炭素。いったい何処に行き、何処で使われるのでしょうか?樹木の骨格を作るために固定される炭素、呼吸活動で消費される炭素、共生相手である菌根菌に供給される炭素、根からの滲出物として土壌環境に放出される炭素。枯死して土壌へ還っていく炭素。炭素の動きを見ることにより、その植物の生き方や生活史がみえてきます。森の中の(特に根系の)炭素の行方、一緒に追いかけてみませんか!?Going underground !          根系の謎を発掘長野県の諏訪湖における測定。湖からの蒸発やメタン放出のメカニズムを明らかにしようとしている。アラスカの北方林における測定。北極域は温暖化の進行が早く、それが炭素循環に及ぼす影響を明らかにすることが重要。岡山大学修士課程、筑波大学博士課程を修了後、アラスカ大学や京都大学の研究員を経て、2014年に信州大学に着任。主に地表近くの大気運動や大気と生態系の相互作用を研究。岩田 拓記 助教微気象学研究室私の研究室の卒業生は、修士課程に進学したり、環境関係の会社や一般企業へ就職したりと様々です。どのような進路となっても大学での研究を通して学んだことを活かして活躍してほしいと思っています。現在、地球温暖化などの環境変化が問題となっていますが、これらの環境変化は物質循環のバランスがくずれることが一因となって生じています。温室効果ガスは気候に影響を与えますが、その大気中の濃度変化は大気と生態系の間の交換量の変化によって引き起こされています。したがって、この交換量の変化と環境のつながりを明らかにすることは、将来の気候を予測する上で重要と言えます。大気と地表の生態系との間では水や炭素などの物質の交換がおこなわれています。これらの物質交換は、その生態系を取り巻く環境により影響を受けると同時に、その環境にも影響を及ぼしています。例えば、森林生態系は光合成や蒸散といったプロセスにより大気と二酸化炭素や水蒸気を交換していますが、その交換は日射や気温、湿度などの環境変化に応答して刻一刻と変化しています。また、この水蒸気交換は周辺の大気の湿度に影響を与えています。これらの交換量と環境の変化を野外で連続的に測定することで、物質循環と環境のつながりの解明を目指しています。水や温室効果ガスの交換と   環境のつながりを明らかにする

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