理学部研究紹介
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26理学科生物学コース研究から広がる未来研究から広がる未来卒業後の未来像卒業後の未来像生物学コース(山岳科学研究所)理学科研究室の一コマ。各自が責任を持って個別の研究テーマを追求している。研究室内のディスカッションから新しい研究テーマが生まれることも。サンプリングを行う日本の高山地帯。実験室内外で研究を行うことにより多角的な視点を獲得できる。京都大学大学院農学研究科応用生命科学専攻博士課程修了。2015年より現職。研究分野は植物―微生物共生系、および植物二次代謝産物。髙梨 功次郎 助教共生分子生物学研究室研究を通して培われる論理的思考力や問題発見・解決力、観察力は、あらゆる分野の職業において必要不可欠です。当研究室での経験を活かして、様々な分野で活躍してほしいと思います。過去に起きた、植物の生育域の変化に伴う共生生物の行動を調べることで、未来の気候変化に対する共生系の行動を予測することができます。また、自身が生産する毒に対する自己解毒機構は、医薬品生産の植物工場に応用できるかもしれません。当研究室では主に基礎的な研究を行っていますが、その先にある私たちの生活を常に考えながら研究を進めています。植物の持つ様々な不思議について研究しています。薬草や毒草はなぜ自身が生産する生理活性物質にやられないのか、また、数十万年、数百万年の時間スケールで植物が生育域を変えるとき、その植物と共生している生物はどのように行動するのか、などを山岳地帯などをフィールドにして調べています。植物は動物と異なり発芽した場所から動けません。そのため動物にはない様々な機構を発展させてきました。それらの機構を研究し、植物のもつ不思議のベールを一枚ずつ解明していきたいと考えています。植物の不思議:微生物共生と代謝産物と松本城のお堀で採集された外来魚のモツゴ遺伝子解析の結果、中国産、韓国産、西日本産のモツゴが侵入していた。流下する餌争うサラマオマス サラマオマスはサケ科魚類の分布南限である台湾に生息する。(雪覇国立公園にて)問題を提起し、解決方法を探り、論理的に問題を解決する能力が培われます。大学院進学のほか、理科教員、公務員、化学薬品や食品会社など様々な進路があります。愛媛大学理学部卒、北海道大学大学院水産増殖学専攻修了(水産学博士)。研究課題:冷水性淡水魚類の日本列島への侵入と種分化、近縁淡水魚類種間の相互作用高田 啓介 准教授分子生態学研究室生息場所の減少や生息環境の悪化によって絶滅が危惧されている種では、遺伝的多様性の把握が急務です。遺伝子解析を基に絶滅確率など保全の緊急性を判断する基準を作ることにより、絶滅危惧種の保全に役立つと考えています。また、日本列島への外来種の侵入と分布拡大が社会問題にまでなっており、在来種と外来種間の相互作用をDNAと生態を解明することで、分布拡大阻止の手がかりが得られると考えています。 生物の分布域形成の解明には、分子系統解析とともに、種間の相互作用といった進化生態学的なアプローチが重要です。トゲウオ科のトミヨ属魚類各種が種分化に伴い、いつどのような経路で日本列島へ侵入してきたのかをDNA解析から解明をしています。また、コイ科魚類のモツゴが近縁のシナイモツゴの生息地を種間交雑によって乗っ取っている現象や、外来種であるブラックバスとフロリダバスが日本に侵入後に交雑し、より侵略的な特徴を獲得している現象など、外来種の侵略メカニズムの解明を、遺伝学的情報と生態学的情報を組み合わせることにより進めています。生物種間の相互作用を       DNAから解き明かす

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