理学部研究紹介
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22理学科理学科地球学コース地球学コース研究から広がる未来研究から広がる未来卒業後の未来像卒業後の未来像北アルプス焼岳山頂の噴気観測。現在は静穏な焼岳だが、本当は…。今後の変化に注目して継続的な観測を行っている。2014年秋から活発に噴煙を上げている九州、阿蘇火山の中岳第1火口。噴火の様子を間近で観察することは、火山研究の醍醐味の一つである。齋藤 研究室2004年 京都大学大学院修了、博士(人間・環境学)。JSPS特別研究員等を経て、2008年より信州大学。専門は火山学、岩石磁気学。齋藤 武士 准教授当研究室では学生の主体性を特に大事にしています。研究活動を通じて考える習慣と科学的な思考方法について、自分なりのやり方を掴めるように指導しており、それは卒業後も多いに役立つと考えています。最近の進路は、他大学の大学院への進学、地質・建設・資源・GISなどの民間企業、気象庁、教員などです。系外惑星が観測されるようになった現在でも、生命が確認されているのは地球だけです。生命が存在するには液体の水が不可欠だと考えられていますが、原始的な生物は海嶺周辺の熱水噴出孔に生息しており、火山活動も大きな役割を果たしていたようです。熱いマグマと冷たい水の絶妙なバランスが大事だったのかもしれません。火山の研究から、地球外生命やハビタブルプラネットの探索につながっていくかもしれません。私は火山を研究しています。火山に出かけていって溶岩やガスを採ってきたり、火口で温度を測ったりしています。そうして測ったデータや、採ってきた試料を分析することで、昔そこでどんな噴火があったのか、現在どんな活動が起きているのか、これから先どんな活動が起こりそうかを探っています。火山は私たちの住んでいる地球の表面と内部をつなぐドアのようなものです。火山を研究することで、地球の中で今どんなことが起きているのか、かつてどんなことが起きたのか、今後地球がどうなっていくのかについて予想することができます。火山からのぞく、    この地ほし球の現在・過去・未来黒曜石に発達するスフェルライト。マグマに溶け込んでいた水の穏やかな放出痕。scale:1mm京都大学、同大学院を経て、1992年に信大着任。理学博士。研究分野は、鉱物の結晶構造と組織。ならびに火山岩組織と温泉沈殿物など雑多。牧野 州明 教授牧野 研究室自然を対象とする研究、調査、分析などの勘所の習得目指しているので、関連様々な職種で活躍あるいは活躍を期待しています。私の研究対象は直接即役立つ内容ではありませんが、自然現象の不思議と分かりたいを満たす研究です。ただその過程には、多くの他分野でも基礎となる経験を含んでいます。nmサイズの鉱物の結合状態の解析手法から、km規模の火山噴出物の積層の観察まで、あらゆる手段を駆使して、論理と実証を追求します。自然を対象にすることの厄介さを受容できるまで耐えられれば、初めて解決への道が開け、新しい知見を一つ手にできます。様々な地質現象を担う素過程をnmオーダー組織から解明しようと試みています。その組織形成の駆動力はラーメンの脂のように溶け合っていた物が冷えると分離する性質で不混和と呼びます。そのことによる長石という鉱物や黒曜石にみられるnm規模の組織の発生を調べてます。加えてnm組織の出現に伴いイリデッセンスといわれる金属質の発色(ザクロ石、長石、オパールなど)が見られその発色機構も対象です。このような分析手法を駆使して火山噴出物解析を基に、御岳、浅間、阿蘇などの火山噴火の変遷や、柔らかい対象では温泉沈殿物と噴出後の源泉変化も調査しています。nm組織からの伝言イリデッセンスを示す長石。左実像(筋2つ)、右回折点(二重点)。不混和により二つに分離。分離のタイミングは?レインボーガーネット。こだわって処理しないとクリヤーな画像と事実は見えない。イリデッセンスの典型例。scale:1mm

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