理学部研究紹介
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13研究から広がる未来研究から広がる未来卒業後の未来像卒業後の未来像理学科物理学コース光物性研究室周波数変換メタマテリアル。印刷できる金属ナノ構造にレーザー光を照射すると、光よりも周波数の低いテラヘルツ電磁波が発生する。この現象を利用して電磁波の周波数を変換するメタマテリアルを開発中。酸化チタン球配列からなるテラヘルツ波高効率吸収メタマテリアル。ある周波数の電磁波を100%近く吸収できる構造で、いろいろな表面に形成できる。大阪大学工学研究科精密科学・応用物理学専攻 博士後期課程修了 博士(工学)。テラヘルツ波工学とメタマテリアルの研究に従事。髙野 恵介 助教物質の光分析技術、レーザーや微細加工装置の取り扱い技術、電磁波応答のコンピュータシミュレーション技術など、材料開発、通信や光デバイスを扱う企業や研究所に広く通じる技術と知見が身につきます。 メタマテリアル技術を使って、薄くて解像度の高いレンズや、透明マントなどが実現されようとしています。メタマテリアルは、光・電磁波のあるところどこにでも応用可能性があります。望みの電磁応答を持つメタマテリアルを簡単に設計し、ナノテクノロジーを駆使した微細加工技術で、まるでプリンタで印刷するように簡単に作り出すという未来が訪れるかもしれません。 携帯電話の電波や、リモコンの赤外線、目に見える光、レントゲンのX線など、呼び名は違いますが、これらは全て空間を伝わる電気と磁気の波である電磁波です。自然界の物質はそれぞれを構成する原子や分子の性質によって、いろいろな周波数で振動する電磁波に対して様々な応答を示します。一方で、電磁波の波長よりも小さい構造を物質に人工的に施すことで、新しい電磁波応答を付け加えることもできます。そのような人工構造で自由度高く電磁波応答を設計した物質のことをメタマテリアルと呼びます。メタマテリアル内部で生じる新しい電磁現象の発見や、これまでにあまり使われてこなかったテラヘルツの周波数帯の電磁波を操る技術を目指した研究を行っています。 物理学コース理学科メタマテリアルで電磁波をあやつるテラヘルツ波を制御する人工構造物(メタマテリアル)。数ミクロンの微細加工を行い、メタマテリアルを作製する。テラヘルツ分光装置を構築している様子。自分たちで測定装置を構築する。主な研究分野:テラヘルツ電磁波工学。人工構造物を用いた電磁波の制御素子に関する研究。キーワード:テラヘルツ波メタマテリアル宮丸 文章 准教授本研究室では、レーザーを用いた光学系を構築し、それらをコンピュータ制御するプログラムを作成するなど、測定装置を自ら作製します。それらの基盤的な技術を身に着けた学生は、光学機器メーカーや電気・精密機器メーカーなどで、研究開発業務に従事することが多いです。テラヘルツ電磁波は他の電磁波には無い光学特性があり、それを利用した応用技術というものが考えられてきています。たとえば、可視光とは異なり、紙や陶器などの物質を素通りします。一方、薬品やプラスチックなどにはある特異な吸収特性を示します。このようなテラヘルツ電磁波の特性は、さまざまな産業分野へ応用されていくと考えられます。光物性研究室テラヘルツ波と電磁波領域を制御する研究を行っています。テラヘルツ波とは電磁波のある周波数領域です。この周波数領域は、これまで研究開発が立ち遅れていました。なぜなら、十分に強い光源を得るのが難しかったからです。しかし、ここ十数年の間にテラヘルツ技術は急速に発展し、いまや産業応用へ向かいつつあります。本研究室では、テラヘルツ波を制御する新しい光学素子の研究を行っています。特に、メタマテリアルと呼ばれる人工構造物を作製することによって、これまでになかった光学特性を持つ光学素子を実現する研究を行っています。テラヘルツ電磁波を制御する(環境・エネルギー材料科学研究所)(環境・エネルギー材料科学研究所)印刷加工

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