第4回 信州大学見本市 知の森総合展2017 出展シーズ抄録集
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“食べる”オリゴDNAの開発と乳酸菌ワクチンの創製研究下里剛士:学術研究院(農学系)准教授mail: shimot@shinshu-u.ac.jp荻田佑:学術研究院(農学系)助教バイオメディカル研究所専任mail: ogitat@shinshu-u.ac.jp研究室HP: http://www.shinshu-u.ac.jp/faculty/agriculture/lab/shimolab/農学部分子生命工学研究室(下里・荻田研究室)健康であること、健康に老いることは、全人類の願いではないでしょうか。現在、健康維持・増進、疾病予防・早期回復など、食品の果たす役割は極めて大きなものがあります。当研究室では、「食品免疫学」をキーワードに、食品による免疫調節機能について追求しています。とくに乳酸菌をはじめとする有用微生物のゲノムDNAが有する様々な免疫機能について、「動物レベル」・「細胞分子レベル」で解析を進めています。また、全く新しい機能を有する乳酸菌をデザインし、様々なアプローチから「スーパー乳酸菌」の創製を目指しています。将来的には、科学的根拠に基づく新たな機能性食品・飼料素材の創製を実現させたいと考えています。食べるオリゴDNAプロジェクト(DNAナノカプセルの開発)乳酸菌ワクチンの開発オリゴDNAは、多彩な免疫機能を有する核酸素材として知られています。我々の研究グループは、オリゴDNAをナノサイズ(100万分の1ミリメートル)のカルシウム性粒子に包摂する手法を確立し、胃液に溶けず腸まで届く「経口用DNAナノカプセル」の開発に成功しました。さらに、強力な免疫抑制作用を有するDNAナノカプセルを用いてアトピー性皮膚炎モデルマウスへの経口投与試験を実施し、皮膚におけるアレルギー性炎症が抑制されることを発見しました。これは、腸管に到達したオリゴDNAにより、全身免疫系が制御されたことを世界で初めて示したものです。今後、オリゴDNAを有効成分とする新たな機能性食品や家畜飼料素材の創製に繋がる成果です。乳酸菌を用いて腸管組織を標的とする新たな粘膜ワクチンの開発も行っています。環境・食品・農業7環境・食品・農業5454

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