総合人間科学系研究紹介
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4総合人間科学系総合人間科学系全学教育機構全学教育機構研究から広がる未来研究から広がる未来卒業後の未来像卒業後の未来像左が零磁場、右が強磁場下で成長させた銀樹。零磁場の条件では、樹枝状の銀樹が成長しているのに対し、強磁場の条件下では、長さがほぼ同じで、一方向へ傾いた銀樹が生成していることがわかる。磁場内で作成した高分子の薄膜。直径20 mm。通常の重力下では、この大きさの膜は割れてしまう。変化がはやく、新しい考え方がどんどん古くなる時代ですが、化学は「もの」の構造を考える、「もの」の性質を調べる、「もの」をつくる、など「もの」に関する基本的な分野です。本質的なところをブラックボックスにしないで、いろいろ新しいものに取り組めるような人になってください。東北大学理学部化学科卒業、同理学研究科博士後期課程修了、博士(理学)取得後、日本学術振興会特別研究員(広島大学)、信州大学教育学部講師、助教授を経て、2006年全学教育機構に着任。勝木 明夫 教授自然科学教育部門電子はすべての「もの」に含まれていますから、磁場はすべての「もの」と相互作用することになります。ですから、強い磁石を使えば、どんな「もの」でも何らかの相互作用を示すことになります。この相互作用を応用することで、反応を制御する、新材料の開発をすることができます。磁気科学は基礎的な化学だけではなく、高分子、金属、医学など幅広い領域にまたがる研究分野です。自然科学の様々な分野の中で、化学は「もの」をあつかう学問になります。その「もの」を制御する方法として磁場と光を使う方法があります。磁場と光は「もの」の中の電子と相互に関係しあうことができます。これを相互作用といいます。この相互作用のために、「もの」は様々な顔を見せてくれるのです。特に磁場と「もの」との相互作用を扱う学問を磁気科学といいます。この相互作用についてはまだよくわからないところが多く、詳細な研究が必要な領域です。そこで強力な磁石である超伝導磁石を用いて、種々の反応系について研究を行っています。磁場と光と「もの」との相互作用を制御する化学重力レンズ効果を使うと立体的な影絵が得られますハワイ島のすばる望遠鏡は標高4,200mの山頂にあります遠方宇宙にある明るい天体(クェーサー)からの光が、地球に届くまでに通過する様々な物質によって影絵(吸収線)が作られます観測天文学研究室の卒業(修了)生の進路は、研究職、公務員、教員、一般企業(ソフトウェア、メーカー)と幅広く、様々な分野で活躍しています。天文学的なスケールで考えることができる人材が求められている証拠だと思います。長野市出身。東北大学理学部卒業、東京大学大学院理学系研究科修了後、ペンシルべニア州立大学博士研究員、理化学研究所基礎科学特別研究員、信州大学全学教育機構専任講師を経て、2013年より現職。三澤 透 准教授自然科学教育部門ガリレオが自作の望遠鏡で天体観測を行ってから約400年。この間、望遠鏡の巨大化は目まぐるしく進みました。そして現在の主流は口径10メートルクラス。2020年代には口径30メートルクラスの望遠鏡が世界に複数台建設される予定です。これら次世代巨大望遠鏡を使って影絵の観測を行えば、宇宙膨張の直接的な検証、物理定数の普遍性の確認、銀河間ガスの3次元地図の作成、などが実現できるかもしれません。影絵のようなユニークな方法を利用して宇宙の研究をしています。宇宙には星や銀河のように明るく輝く天体がある一方で、暗い物質(星間ガス、銀河間ガスなど)も大量に漂っています。このような物質は、背後にある明るい天体(星やクェーサーなど)からの光を部分的に遮る効果を持ちます。ですから地球に到達した光を分光することによって、その天体の虹(スペクトル)に記録された影絵(吸収線)を通して調べることができるのです。このような観測をすばる望遠鏡などを使って行い、クェーサーの内部構造、宇宙の物質変遷の歴史、星間空間に漂う巨大分子、などを調べています。影絵を使った天体観測:ユニークな観測手法で見えない宇宙を探る磁場下で成長させた銀樹。銀樹はある角度方向に配向していることがわかる。

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