総合人間科学系研究紹介
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3総合人間科学系総合人間科学系全学教育機構全学教育機構研究から広がる未来研究から広がる未来卒業後の未来像卒業後の未来像x²+y²+z²=0で表されるA₁の特異点のイメージ自然科学教育部門自然科学教育部門授業のようす2(「時」について考えるゼミ)授業のようす1(サイエンスツアーゼミ)東京大学卒業後、同大大学院にて学位取得。高エネルギー加速器研究機構を経て現職。共通教育では力学、電磁気学をはじめとする物理学関連の授業のほか、右写真のような授業も開講。安達 弘通 准教授物理やそれを処理して行く数学の力は理科系の方であれば専門を理解して行くうえで土台となるものです。どこかで役に立つかもしれないと信じて、いっしょにがんばって行きましょう(できれば楽しみながら)。たとえば上に述べた成果は、磁石のNSを操作することでエックス線ビームの中に時間的、空間的な強度構造を作り込む未来技術の可能性を示唆しています。エックス線を使った超微細加工や放射線治療への応用が期待できます。またエックス線と磁石との相互作用はエックス線の偏光とよばれる情報を調べるうえでも役立つのです。エックス線を出しているブラックホールなどの観測研究にも貢献できるかもしれません。エックス線はものにあたると突き抜けたり、吸収されたり、はね返されたりします。磁石にあたったときには磁石のN極とS極がどちらを向いているかで突き抜ける量や跳ね返される量が変わります。古くから知られている現象ですが、磁石の向きに依存して変化する割合はごくごくわずかであることがふつうです。私たちの研究室では、その割合を大きくする新しい原理を見出し、磁石の向きによってエックス線のはね返る量が倍ほども変わる現象を実現しました。このようなエックス線と磁石が織り成すさまざまな現象の研究やそれを利用した物質の解明、新しい技術の開発などを行っています。磁性体一般、および放射光と磁性体の相互作用に関する教育・研究筑波大学大学院博士課程数学研究科数学専攻修了博士(理学)数学(特異点論,位相幾何学)片長 敦子 准教授「数学が世の中にどのように役に立っているのかわからない!」確かに算数ができれば日常は事足りているのかもしれません。しかし計算や論理だけではない「数学的な考え方」も授業で学び、皆さんの将来の大きな仕事や日常生活に役立ててもらえれば嬉しいです。「すべての現象は特異点の現れである。」とも言われています。特異点は、ブラックホール、光の屈折、台風の目、渦潮など自然界にあるものから私たちの持ち物に至るまで、とても身近に存在しています。数学では、より抽象的な空間を設定して特異点を研究します。100年くらい経ち、特異点の研究成果が自然界や世の中の特異点に応用されたとき、どのような未来が広がっているのか楽しみです。特異点は、他の点とは異なる特徴をもつ特異な点です。例えば、右の曲面の特異点はどこにあるでしょうか?すぐに特異点を見つけられたと思います。ではなぜ、すぐに見つけられたのでしょうか?それは、特異点が特異点を許容する空間の特徴や様々な現象の本質を凝縮して持つ点だからです。したがって、特異点を解明することは重要な研究課題になります。具体的には、複素数体上で定義された多項式に現れる高次元孤立特異点の幾何構造を、位相幾何学的な視点から研究を行っています。潰れてしまっている特異点ですが、その個性を捉えるために、特異点を解消して現れる図形や、特異点の周りを切り取って現れる図形の特徴に注目して調べています。特異点論,位相幾何学

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