総合人間科学系研究紹介
18/36

14総合人間科学系総合人間科学系全学教育機構全学教育機構研究から広がる未来研究から広がる未来卒業後の未来像卒業後の未来像「ドイツ環境ゼミ」のドイツ研修にて(ハノーファー市内)どのような分野に進もうとも、自分が取り組むことに対して「現実感覚」を持ち、取り組むことができるような人生をおくれるようになってもらいたいです。文学(読書体験)を通して、人は対象を間接的に経験します。それは直接的な経験あるいは現実感覚を持つことへのきっかけとなり、対象を「現実的で身近なもの」としてとらえることができるようになります。これは自然や環境だけでなく異文化でも同じことです。とにかく「自分」との関係でものごとをとらえ、同時に自分をふりかえることができるような教育研究をしています。信州大学農学部林学科・人文学部卒業、同人文科学研究科修士課程修了後、名古屋大学大学院にて学位取得(博士・文学)。立教大学講師を経て、2006年全学教育機構に着任松岡 幸司 准教授初修外国語教育部門ドイツ語や環境文学関連科目を担当しています。そして人間と自然・環境の関係について文学を通して考える「環境文学」という分野に関する研究をしています。自然や環境とは、知識やデータを通して知るだけのものではありません。「自分との関係」で考えて初めて、「自分の問題」として考え、感じられるようになります。この観点を出発点として、自然や環境に関する文学体験を通して、「自分にとって自然・環境とは何か」ということを「現実感覚」をもってとらえるにはどうしたらよいか、ということについて研究しています。ドイツ・環境・文学:自分との関係で考える世界日中学生の交流会中国西安市生まれ。文化大革命後、20 代後半に黒龍江大学に入学。西安外国語大学の日本語教師を経て、日本留学、東京都立大学(現在の首都大学東京)で日本文学専攻, 修士、博士課程を終えて、1989 年信州大学に着任。閻 小妹 教授初修外国語教育部門中国語を習い、文学作品、特に日本文学と関わりのある中国古典を読むことは、これからの人生を豊かにする貴重な体験なのです。なぜ人間は恐ろしい話、不思議な話を好んで聞いたり、また作ったりするのでしょう。また、中国で出版を禁じられた怪異小説は、なぜ日本で大流行になったのでしょう。それは奇怪な話の中に、当時の人々にとって、娯楽的な要素、神仏への信仰、様々な知識や情報があって、また、未知の世界と異界に対する恐怖や好奇心があったからでしょう。怪異小説の研究は人々を魅了した個々の物語の背後にあったものを明らかにし、私たち人間の想像力、表現力を豊かにするものでしょう。中国語会話・講読、中国古典小説、日中比較文学の授業を担当しています。専門は日本近世文学です。特に江戸時代に流行した日本の怪異小説と、それに深く関わりを持つ中国小説との比較研究をやっています。中国文学にしろ、日本文学にしろ、とりわけ怪異小説では女性を異類として登場させ、描かれることが多い。狐や蛇として現れたりするが、これらの異類は特殊の能力を持ちながら、人間に化けて秩序のある社会、既成の道徳倫理に反する行動に出たり、または男たちを誘惑したり、どこまでも追いかけたりしていくこともあります。しかし、異類は最終的に人間に殺され、閉じ込められる運命になります。なぜ文芸作品にこういう現象が描かれたのか、その背後にある女性への眼差しはどういうものなのか、を考えることによって、テキストへの理解をより深めようとしています。女性が異類として多く描かれる怪異小説の世界へ青年がほれた美女を、老人が覗き見したら、なんと髑髏(どくろ)でした。江戸の人が想像した中国の怪異小説「牡丹灯籠」の一場面ですが、いまの学生がどう見るのか、楽しみです。ドイツとチェコの国境線上にてエネルギー自給村フェルトハイム(ドイツ)の視察

元のページ  ../index.html#18

このブックを見る