工学部 研究紹介2018
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マイクロ波レーダ装置とレーダ画像(内部断面画像)の例。計測精度をさらに高め、構造物の内部情報を詳細に把握できる技術が目標無線センサネットワークのための端末位置計測実験の様子。センサ端末間の無線通信情報を利用し、端末の位置推定を試みている⾃ら考える計測システム:波動を使って触らず測る知的計測技術の実現高山潤也准教授日産自動車株式会社、東京工業大学大学院理工学研究科助手・助教を経て、2012年より現職。専門は計測工学。知的計測システムの構築、およびそれに係わる高精度計測技術や非線形信号処理理論の研究に従事。卒業後の未来像研究から広がる未来⾼⼭研究室機械システム⼯学科「計測を制する者は、技術を制する」という言葉もあるほど、簡潔で高性能なシステムの実現には、計測技術が不可欠と言われます。高山研究室では、マイクロ波を使ってコンクリート壁の健全性を診断する技術など、音や光・電波といった波動が反射や伝播してきた様子を分析することにより、非破壊・非接触にものの状態を計測する技術の研究に取り組んでいます。さらに、いつも同じ計測範囲や計測精度ではなく、計測システム自身が目的に応じてその性能を適応的に変化させられる能力を備えた「知的計測システム」へと、これらの技術を発展させることを目指しています。計測技術が高度化すると、どのような世界を実現できるのでしょうか?それは、計測技術と制御技術が融合し、完全自動化された世界ではないかと考えています。たとえば、計測技術によって周囲の環境が完全認識できるようになれば、近い将来では自動運転が可能な(本当の)自動車、その先には人間との共存・協調作業も可能な完全自律型のロボットなど、未来のものと思っていた多くの技術が現実となります。計測は、検査や診断ばかりでなく、ロボットの外界認識や運動制御など、さまざまな技術の実現に欠かせません。ですから、卒業研究を通して身に付けた知識と問題解決能力を基に、機械系のみならず幅広い研究分野で活躍できるはずです。研究シーズ共同研究・外部資⾦獲得実績社会貢献実績研究キーワード知的計測システム・⾼精度計測・⾮線形信号処理・⾮破壊探査・異常診断【先生の学問へのきっかけ】小さな頃から乗り物、特に自動車が大好きでした。進学時期に至るまでそれは変わらず、エンジニアとして世界一の大衆車を作るという夢を持っていましたので、機械系しかない!と思い、周囲の意見にはまったく耳を貸さず進学先を決めました。大学でさまざまな専門科目を学ぶうち、自動車の事故回避や自動運転には高度な計測技術が不可欠であることに気づき、卒業後は自動車会社へ就職したものの、計測技術を極めるという目標のもと研究職へと身を転じました。現在は、知能を備えた計測システム:知的計測システムの実現に向けた研究を推進しています。•マイクロ波レーダによる構造物の非破壊診断•非線形信号処理技術を応用した異常診断の高度化(回転機器の異常診断、壁面剥離・ひび割れ診断、物体表面性情診断など)•無線センサネットワークシステムにおけるノード位置計測技術とその応用•マイクロ波・超音波など波動を利用した非破壊探査技術•光波・電波・超音波など波動を利用した高精度測距・測位技術•光波・超音波など波動を利用した物理量分布計測技術•センサネットワークにおける動的位置推定の高精度化と高度利用に関する研究(科学研究費補助金)•反射波と透過波の複合受信による地雷探査レーダの開発(GPRによる高分解能地雷探査(形状・材質識別)システム)(科学技術推進機構・人道的対人地雷探知・除去技術研究開発推進事業)•自動車の絶対車速計測のための信号処理技術(民間企業との共同研究)•回転機器からの発生音を利用した劣化診断技術(民間企業との共同研究)•打音法による外壁劣化診断技術(民間企業との共同研究)•マイクロ波を利用した鉄筋コンクリート構造物中の埋設物探査(民間企業との共同研究)•超音波を利用した空間温度分布計測に関する研究(民間企業との共同研究)公益社団法人計測自動制御学会計測部門センシングフォーラム運営委員会主査、会誌編集委員、中部支部事業委員長、中部支部信州地区計測制御研究委員会委員長、国立大学法人保健管理施設協議会メンタルヘルス委員会大学院生実態調査研究班員、放送大学学園非常勤講師96

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