工学部 研究紹介2018
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微細センサーを使って「乱流の撹乱構造」をとらえる三次元的で複雑な構造が絶え間なく変化する乱流。松原研究室では微細センサーでその乱流中の撹乱構造の解明に取り組んでいます。白金細線やMEMSマイクを利用した時空間分解能の高いセンサーアレイを開発し、それらによる同時高速測定で、壁面近くの乱流にあるヘアピン渦などの撹乱構造をとらえています。また、乱流の「発生学」と言われる「層流乱流遷移」について、フレーク粒子と高出力レーザーによる流れの可視化を中心に研究しています。古くて今だ新しい乱流研究。20世紀が残した最大の研究課題の一つとも言われています。近年はスーパーコンピューターや数100mの大型風洞装置を用いて熱心な研究が国際的に進められています。その中で松原研究室では実験的なアプローチを中心に乱流の本質に迫るため、現在建設中のイタリアの巨大パイプ流施設による国際共同研究CICLoPEへの参加を進めています。MEMSマイクにつながっている壁面孔列。壁面孔の直径は0.6mm。孔の左には直径2.5μm白金センサーを持つ熱線センサーサイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦2.5cm流体実験では流体測定装置に以外にも光学装置や音響装置など様々な機器を使い、それらを統括的に制御して実験しています。これらの測定システムの構築や実験の経験を基に流体機器の新製品開発などで活躍しています。松原雅春教授王立工科大学(ストックホルム)および東北大学を経て、2014年より現職。流体力学とくに乱流に関する研究に従事。乱流と層流が混在する流れ。7mm離れた二枚のガラス板間に水が流れている。流れの可視化にはフレーク粒子を使用サイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦7.8cm松原研究室研究から広がる未来卒業後の未来像機械システム⼯学科研究シーズ共同研究・外部資⾦獲得実績社会貢献実績研究キーワード流体計測・流れの抵抗軽減・乱流・層流乱流遷移・微細センサー【先生の学問へのきっかけ】中学・高校時代から一般向け科学雑誌を毎月読んでいて、量子力学や天文学など物理学を中心とした未解明問題に強くひかれました。大学の授業で流体力学を学ぶうち、教科書的な問題設定と現実にある流れがかけ離れていることに驚き、おもしろいなと思いました。その後、流体工学の研究室に入り、古典力学でも「乱流」という未解明問題があることを知り、一生かけて研究していこうかと決心しました。•MEMSマイクロフォンによる壁面圧力分布の動的計測•高分子ポリマー添加による管摩擦の抵抗軽減•パルス加熱式微細熱線流速計の開発•層流乱流遷移の予測法•噴流の動的制御•線形撹乱やオイルフィルムを利用した壁面摩擦の測定•大型ダクトによる乱流研究•無機繊維生成のメカニズムに関する研究(民間企業との共同研究)•低損失逆止弁の開発(民間企業との共同研究)•真空ポンプの低騒音化(民間企業との共同研究)•スクリューポンプの開発(民間企業との共同研究)•圧力計に対する脈動抑制装置の開発(民間企業との共同研究)•機械・レーザー・イオンビーム複合加工による超微細デバイス開発(地域新生コンソーシアム研究開発事業)•水膜の制御(海外大学との共同研究)•平板乱流境界層におけるトリッピングの影響(科研費基盤研究C)•壁せん断乱流実験での線形撹乱モードの探索とそれに基づく構造と統計量の橋渡し響(科研費基盤研究C)•乱流カスケードの研究上ブレークスルーとなる線形モードを利用した実験的研究(科研費基盤研究C)日本流体力学会代議員フェロー日本機械学会会員可視化情報学会会員Nozzle & CamberDiffuserTest section16900100093

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