工学部 研究紹介2018
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ナノカーボンの構造モデル(左)と当研究室で主に研究している二層カーボンナノチューブの高分解能電子顕微鏡写真(右)構造制御したナノカーボンを用いた強靭性を有する海水淡水化用高性能メンブランの構造モデル研究支援部門⽵内研究室研究から広がる未来当研究室では、21世紀素材とも目されるカーボンナノチューブに代表されるナノカーボン(ナノメータのレベルで精緻に微視的構造や組織・形態が制御、設計され、それによって従来には無い高度な性能が付与され、革新的な機能を発現する炭素体)について研究しています。それらナノカーボンの精緻な生成・構造制御により、超高機能複合材、超軽量電線、高性能エネルギー貯蔵デバイス(リチウムイオン電池や電気二重層キャパシタ)、次世代燃料電池および高性能水分離膜、等に応用しています。身近にある炭素は古くて新しい魅力的な素材として今注目されています。ナノカーボンは、原子・分子レベルで精緻に構造制御することで、様々な分野に応用できます。ナノ構造制御による金属の数十倍の比強度も持ちかつ超軽量の素材やケーブルにより、宇宙エレベータの実現も夢物語ではなくなってきています。現在、携帯電話、ノートパソコンや電気自動車に用いられているリチウムイオン電池は、高性能であるが容量不足です。しかし、近い将来に新規ナノカーボンにより大幅な高容量化が実現可能です。さらに現在、世界中で水不足が大きな問題となっています。現在主流の高分子による逆浸透膜は高性能であるものの、耐薬品性や耐久性が低く、また高コストのため実用化があまり進んでいません。そこで、強靭で高耐薬品性を持つナノカーボンを用いて世界を救う革新的な造水機能を有する水分離膜を実現すべく積極的に取り組んでおります。竹内健司准教授信州大学大学院工学系研究科博士課程を修了後、企業技術者を経て2008年より現職。研究分野はナノカーボンの創成と応用21世紀の⾰新的素材であるナノカーボンを⽤いて世界の環境問題に挑む⽔環境・⼟⽊⼯学科研究シーズ共同研究・外部資⾦獲得実績社会貢献実績研究キーワードナノカーボン・ナノ構造制御・触媒化学気相成⻑法・透過電⼦顕微鏡解析【先生の学問へのきっかけ】小中学生の時からコンピュータに興味を持ち、漠然と科学者に憧れを感じていました。高校生や大学生になると恩師の影響もあり、コンピュータに加えて物質(特にナノサイズ)について興味がわいて、この世にない全く新しい物質を自身の力で創成してみたいと強く思うようになりました。まだ満足できる物質は創成できていませんが、一生かけてチャレンジしていこうと思います。•ナノカーボンの精緻な構造制御およびその構造解析•構造制御ナノカーボンを用いた超高機能性複合材(樹脂、ゴム)•カーボンナノチューブによる超軽量高電導電線(銅線代替)•新規ナノカーボンを用いた高性能エネルギー貯蔵デバイス(リチウムイオン電池、電気二重層キャパシタ)•農林水産物の残渣を用いたバイオナノカーボンの創成と応用•ナノカーボンを用いた逆浸透水分離膜(海水淡水化等)•膨張黒鉛を用いた油混合水(随伴水、工業水他)からの油分除去•カーボンバンドルをユニットとする新規軽量導体の研究開発(経済産業省)•カーボンナノチューブを用いた革新的超軽量電線の開発(経済産業省)•CNTを用いた超軽量電線の開発(経済産業省)•農林水産物由来のナノ材料の創成と応用の開拓(農林水産省)•カーボン膜による脱塩技術の開発(海水淡水化、随伴水処理、かん水利用)(文部科学省)•反応場ナノ構造制御による連続した超長尺CNTの創成とその機構解明(文科省科研費)•構造制御ナノカーボンを用いた革新的低密度モノリス型ポリマーナノコンポジットの創成(文科省科研費)•精緻な構造制御による超軽量高導電CNTケーブルの創成(文科省科研費)•高機能性ナノカーボンに関する研究(民間企業との共同研究)•新規リチウムイオン電池用電極材料開発(民間企業との共同研究)•カーボンナノチューブ線材の開発(民間企業との共同研究)炭素材料学会学会賞選考委員、ポスター賞審査委員、炭素国際会議運営委員等ナノカーボンの応用イメージ(あらゆる分野へ応用展開が可能である)81

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