工学部 研究紹介2018
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寒川研究室年最大日降水量の100年超過確率降水量経年的に増加傾向にある(新潟)年降水量の非超過10年確率降水量経年的に減少傾向にある(新潟)研究から広がる未来卒業後の未来像寒川研究室では、治水・利水計画を策定するための降水量の非定常頻度分析に取り組んでいます。治水計画とは洪水に対する計画、利水計画とは渇水に対する計画です。従来、これらの計画に用いる確率降水量は定常頻度分析から求めていました。ところが、降水量時系列は非定常性を示すことが明らかにされてきました。従って、非定常頻度分析が必要となってきます。同研究室では、この課題に早くから対応しています。今後は、GCMデータを使用した非定常頻度分析が行われ、洪水・渇水に対して安心できる国土の形成がなされる様になります。降水量の非定常頻度分析は、将来起こり得る洪水・渇水を防御する計画指標を与えます。洪水指標は増加する傾向にあり、渇水指標は減少する傾向にあります。どちらの指標も洪水・渇水規模を大きく取らなければなりません。このような指標により治水・利水計画を行うことは、世界的にみても初めての経験です。すでに、寒川研究室の研究は行政の指示待ちの状況になっています。洪⽔・渇⽔に対する治⽔・利⽔計画を策定するための⾮定常な確率降⽔量の算定寒川典昭准教授信州大学工学部助手、助教授を経て、2007年より現職。主な研究分野は、水文・水資源工学。特に、治水・利水計画に用いる降水量の非定常頻度分析。この分野での先駆的な論文を発表。現在、実用化の段階。寒川研究室の卒業生は、公務員、コンサルタンツ技術者となり、大いに活躍しています。研究室で研究した内容を実務に生かすには、今少し時間がかかりますが、そのような状況になることは大いに期待されます。⽔環境・⼟⽊⼯学科研究シーズ共同研究・外部資⾦獲得実績社会貢献実績研究キーワード⾮定常頻度分析・洪⽔・渇⽔・降⽔量・GCM出⼒データ【先生の学問へのきっかけ】私が生まれた和歌山県日高川町は、よく大きな台風が襲来します。それにより、家屋の浸水や土砂崩れ等が起こり多大な被害が発生します。これを何とか防ぐ方法はないかと小さいときから考えておりました。大学に進学して、これらの事を取り扱う学問として水文学がある事を知りました。以来、私の研究は水文学になりました。そして、水文学で卒業論文、修士論文、博士論文を書きました。又、このような事を研究出来る就職先として、大学を選びました。大学での研究は水文統計一筋で行っております。そして洪水対策に対する研究成果を発表して、社会の役に立つ事が出来たと自負しております。•洪水対策のための移動部分標本による年最大1・2・3日降水量の非定常頻度分析•洪水対策のためのGCM出力データによる年最大1・2・3日降水量の非定常頻度分析•渇水対策のための移動部分標本による月・季節・年降水量の非定常頻度分析•渇水対策のためのGCM出力データによる月・季節・年降水量の非定常頻度分析•GCM出力データを用いた温暖化特性•洪水対策のための移動部分標本による長野県における年最大日降水量の非定常頻度分析(民間企業との共同研究予定)•年最大1・2・3日降水量の等質化とその非定常頻度分析(科学研究費基盤研究)•開水路の三次元流れの水理解析法に関する研究(科学研究費一般研究)•千曲川水系の変遷に伴う流出形態の変化に関する研究(科学研究費特別研究)土木学会水理委員会水文部会委員土木学会論文集編集委員会査読委員土木学会企画調整委員会幹事土木学会水理委員会地球環境水理学小委員会委員日本自然災害学会自然災害科学編集委員会委員79

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