工学部 研究紹介2018
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火山活動が活発な造山帯を多く含むアジア地域は、土地が肥沃だが災害頻発地帯なので、安定帯とは異なる政策が必要平成28年11月工学キャンパスにて開催した公開セミナー「カリフォルニア統合水管理セミナー」でのカミヤ・グビッチカリフォルニア州水資源局全州統合水管理部長による講演吉⾕研究室研究から広がる未来卒業後の未来像吉谷研究室では、政策立案者や実務者との交流や国際交流を重視しながら、洪水災害、水不足、河川環境保全などの水問題の統合的な解決に向けた取り組みに直結する実務・政策支援の研究を行っています。具体的には、欧米の水政策比較分析、造山帯特有の水管理、水害リスクコミュニケーション、洪水予測システム診断と改善提案などの実務的・政策的な研究を、国関連機関との共同研究や受託研究として、また、海外行政機関や土木分野以外の専門家と協同しながら行っています。世界的な潮流である統合水資源管理は、工学的アプローチだけなく組織法制度や関係者間の調整も必要で、幅広い分野にまたがる実務的研究です。さらに、世界各地の先進事例から学ぶことも必要です。学生には水問題の実際と全体像を理解してもらった上で、自分の興味のある個別のテーマを選び研究を行っています。研究室卒業生は、建設会社、コンサルタント就職の他、大学院に進学しています。今後、地方自治体や国の機関への就職も増えるよう学生を支援します。吉谷純一教授1983年北海道大学土木工学科卒、1995年UCDavis修了。建設省土木研究所,国土技術政策総合研究所、京都大学防災研究所などを経て、2016年より現職。主な研究分野は、水資源政策、河川計画、水文予測など。統合的な⽔資源管理政策を⽀援する⽔環境・⼟⽊⼯学科研究シーズ共同研究・外部資⾦獲得実績社会貢献実績研究キーワード統合⽔資源管理・⽔資源政策・河川計画・⽔害リスク・洪⽔予測・⽔⽂観測【先生の学問へのきっかけ】大学では社会とのつながりが最も強いと思った土木工学科を選びました。就職後、最初に配属されたのが研究所の河川部門で、それ以降、水に関する政策支援の仕事をしてきました。就職2年目から、全国の調査プロジェクトの幕引き、タイ王国との国際共同研究の開始の交渉、世界各地からのJICA研修生相手の講師など、重要な仕事を任せられましたが、専門知識と能力の不足を痛感し、英語を猛勉強し、カリフォルニア大学デーヴィス校に入学し数値計算の基礎から最先端の水資源政策まで広範囲の勉強をしました。広い専門知識があると、顧客の期待を上回る問題設定と解決策を提示することができることを実感するようになりました。•欧米の水政策、技術基準の分析•河川計画作成支援•水害リスク評価とコミュニケーション•洪水予測システムの診断・改善•水文観測•実務者研修•カリフォルニア渇水の現状調査と教訓(研究会、及び、財団法人助成)•千曲川洪水予測システム精度向上検討(国土交通省受託研究)水文・水資源学会国際委員長(水文・水資源学会)特別上級・上級土木技術者資格小委員会幹事(土木学会)千曲川リバーカウンセラー(国土交通省)国際連合世界気象機関水文委員会登録専門家(WMO)排出水(ろ過水)わかりやすい水害リスクの表示:浅草の地盤高は堤防天端より7m程度低い千曲川の実時間洪水予測システムの予測手法改善例改善前改善後隅田川荒川75

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