工学部 研究紹介2018
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画像合成によるノイズ除去。フラッシュ画像(左)の模様とノンフラッシュ画像(中央)の色合いを合成して作り出された画像(右)写真サイズ高さ4.35cm×幅7.5cm配置位置横11.4cm、縦2.85cm情報が欠落した画像データ(左)からの画像の復元(右)。画像のもつ特徴をうまく定式化し、方程式を解いていくと、より綺麗に色ムラを抑えつつ復元できる⽩井研究室研究から広がる未来卒業後の未来像画像処理にはノイズを除去する以外にも、まだまだ解決すべき問題が山積みです。ボケた画像を元に戻したり、影や光の反射で見難くなった部分を戻したり、ガラス越し写真の映り込みを消したりと、どれも難しい問題ですが、解決できれば、今よりもさらに綺麗な画像が得られます。得られる画質が向上すれば、その応用分野である画像認識を用いた防犯セキュリティーシステムや、ロボットによる人間の代理行動などの精度も向上していくと考えられます。画像処理というとカメラメーカーを連想しますが、画像処理や画像認識の需要は産業界全体に広がってきていて、電機メーカーや車メーカー等に卒業生を排出しています。また、ゲーム業界などのエンターテイメント分野に進む卒業生もいます。白井啓一郎准教授慶応義塾大学博士課程を経て、2006年より助教、2017年より現職。研究分野は画像処理や3D形状処理といった多次元信号処理。暗闇や逆光でも綺麗に撮影。失敗しても後から修正夜の星空やホタル舞う幻想的な景色を撮影したけど、思うように写っていなかった。そういう経験はありませんか?暗い場所での撮影は難しく、ノイズが発生しやすくなります。一方、フラッシュを使えば写りはするものの光量の調整が難しく、景色の色合いは白く薄れがちです。でも画像処理を使えば、フラッシュ画像の模様と普通に撮影した画像の色合いを合成して、綺麗な画像を作り出すことが可能です。白井研究室では、人の目で見た景色の「画質」や「臨場感」の再現を目的として、画像処理の研究を行なっています。電⼦情報システム⼯学科研究シーズ共同研究・外部資⾦獲得実績社会貢献実績研究キーワード画像・信号処理・カラー画像処理・復元処理・成分分離・数値最適化【先生の学問へのきっかけ】4年生で研究室に配属されてから画像処理や必要となる基礎学問の面白さにハマりました。1年生の頃に習った微積や線形代数、他学科の数理最適化、扱えるようになれば処理方法に幅が広がります。方程式を解く際の数値計算の仕方によって画質や処理速度が変わるのも面白いですね。•カラー画像処理、カラー画像特有の性質を利用した画像処理•他分野への画像処理アルゴリズムの応用(無線通信やコンピュータビジョン)•画像認識で用いられる基幹アルゴリズムの改良•「木簡など出土文字資料の資源化のための機能的情報集約と知の結集」(科研費基盤S分担)•「文書解析・認識オープンソースOCRopusへの数式認識モジュールの組み込み」(科研費基盤C分担)•「文字列上のビット並列法を利用した高速木パターン照合アルゴリズムの開発」(科研費基盤C分担)•「小切手からの磁気インク文字読み取り」(民間企業との共同研究)•「画像処理による欠陥検査」(民間企業との共同研究)電子情報通信学会パターン認識・メディア理解研究専門委員電子情報通信学会回路とシステムワークショップ実行委員電子情報通信学会をはじめとする画像処理関係論文の査読木簡画像からの字形の抽出。後続の認識処理を行いやすくするためのノイズ除去を行います。文字だけ残して木目を消すことが簡単そうに見えて、難しいですね。補正範囲を限定した画像補正(自動アルバム用画像生成)。この例では顔の色を均一にしていますが、周辺領域に影響を与えないように、かつ、領域境界が自然に見えるように色補正を行っています。60

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