工学部 研究紹介2018
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最適化.f(x)を最適化する方法を設計.例えば、生物進化に着想を得た進化計算や、数学的な勾配法など.最適化法の選択は重要最適化の数理的解析と最適化の応⽤近年話題となっているスマートグリッドなどのようなエネルギー利用効率の最適化から、車の形状設計や衛星の経路設計など、社会において重要な問題の基礎をなすのが最適化です。最適化やその手続きに関する基礎研究によって工学の基盤を支えています。また、設計問題や経路計画問題などの実応用を通して、具体的なものづくりにおいても幅広い貢献が期待されます。研究室では、問題の理解から解決策の提案、それを実現するプログラムの作成といった、問題解決の一連の流れを学ぶことができます。このスキルは、研究だけでなく社会に出てからも財産となります。また、車を含め、ものを扱う多くの企業や金融機関では最適化を必要とおり、学んだ知識が役立つ場面は多くあります。秋本洋平助教東京工業大学大学院修了.日本学術振興会特別研究員、フランス国立研究所INRIAポスドク研究員を経て、2013年より現職.研究分野は最適化の理論、設計、実応用.主に確率論や幾何学を応用した最適化法の解析と設計に従事.研究室は田中清教授とエルナン・アギレ准教授と合同.留学生も多く、海外との共同研究も盛ん最適化・問題解決のプロセス研究から広がる未来卒業後の未来像定式化.最適化問題を設計•設計変数x を決定•目的関数f を定義例えば、ロボットの制御器パラメータxを移動速度f(x)が最大になるように最適化何を実現したいのか、何を最適化したいのかを明確に.満足なxが得られるまで繰り返す:•新しい解候補を生成•解候補のf(x)を計算•最適化法の情報を更新どのように解を生成すれば効率的か.問題の性質をうまく活用できるかが重要.関数を平方完成するとが得られ、x=1のときにf(x)が最大値3をとることがわかる。これは、望ましさf(x)を最大にする要因xを探しだす“最適化”の簡単な例であり、平方完成はそのための手続きと見なせます。最適化は、科学、工学、産業など社会の至る所で必要とされる重要な基盤技術です。本研究室では、複雑な最適化問題のための手続きを数学的に解析し、より速く、より正確に最適解を求める手続きを設計し、人工知能分野や実社会に現れる様々な最適化問題で貢献しています。⽥中・エルナン・秋本研究室f(x)=-x2+2x+2f(x)=-(x-1)2+3電⼦情報システム⼯学科研究シーズ共同研究・外部資⾦獲得実績社会貢献実績研究キーワードシミュレーションベース最適化・確率的探索アルゴリズム・統計的推定・情報幾何【先生の学問へのきっかけ】私が研究者になること、そしてアルゴリズムの研究をしようと決めたのは、高校2年の頃です。当時私は将棋に興味を持ち、友人や父親と指すことに加えて将棋ソフトとも頻繁に指していました。将棋ソフトの思考メカニズムはどのようになっているのだろうか、どのようにしたらもっと人の指し方に近いソフトになるだろうか、といったことへの興味がアルゴリズムの研究者を志したきっかけです。大学入学後は図書館にあった論文や本を数多く読み、様々なアルゴリズム研究分野から好きな数学を活かせる最適化アルゴリズムの研究を選びました。•微分を利用しない最適化アルゴリズム•最適化の自動化、i.e.、アルゴリズム選択、パラメータ調節、リスタート戦略の自動化•統計的推定に基づく計量学習と最適化アルゴリズムへの応用•最適化によるパラメータの同定と感度解析•情報幾何の最適化への応用•任意変数型Black-Box最適化に対する効率的アルゴリズムの自動設計(科研費、若手B、2015〜現在)•情報幾何に基づく新しい進化型探索フレームワーク構築に関する研究(科研費、研スタ、2013〜2014)•Cumulationの情報幾何的解釈とその応用(栢森情報科学振興財団、2015〜現在)•Black-Box連続最適化アルゴリズムの解析と設計(フランス国立情報学自動制御研究所(Inria)との共同研究、2013〜現在)Chair,国際会議GECCO2015&2016,ContinuousOptimizationTrackWorkshopCo-Organizer,国際会議GECCO2015&国際会議CEC2015,BBOBWorkshopsTutorial,国際会議GECCO2015&2016(4件)プログラム副委員長,計測自動制御学会システム・情報部門学術講演会(SSI2014)査読委員(IEEETEVC,IEEECYB,EvoComp,etc.2010〜現在)プログラム委員(GECCO,PPSN,CEC,FOGA,etc.2010〜現在)最適化の自動化を実現するためには、アルゴリズムの選択・設計、パラメータの調節、繰り返し戦略を賢く設計しなければならない.46

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